日常生活の遂行に必要な身体機能を再獲得し自宅退院に至った破傷風の一症例の経過報告

「I. 緒言」破傷風は, 破傷風菌の産生する神経毒素が原因で急性の強直性痙攣を主とする臨床症状を呈する感染症である. 臨床経過として, 前駆期から開口制限をはじめとする筋障害が徐々に生じ, 全身痙攣を認める痙攣期を越えると, 回復期へと移行する. 開口障害の出現から全身痙攣が発生するまでの期間はOnset timeと呼ばれ, Onset timeが48時間以内であると予後不良といわれている. 破傷風の診断がつき次第, 直ちに局所処置, 化学療法および抗毒素療法として抗破傷風ヒト免疫グロブリンが投与される. 我々が渉猟した範囲では破傷風患者に対するリハビリテーション治療の経過報告は少ない. 今回...

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Veröffentlicht in:東京慈恵会医科大学雑誌 2018-03, Vol.133 (2), p.17-22
Hauptverfasser: 桂田功一, 新見昌央, 樋口謙次, 竹川徹, 若井真紀子, 池ヶ谷正人, 麻植一孝, 奥野憲司, 安保雅博
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「I. 緒言」破傷風は, 破傷風菌の産生する神経毒素が原因で急性の強直性痙攣を主とする臨床症状を呈する感染症である. 臨床経過として, 前駆期から開口制限をはじめとする筋障害が徐々に生じ, 全身痙攣を認める痙攣期を越えると, 回復期へと移行する. 開口障害の出現から全身痙攣が発生するまでの期間はOnset timeと呼ばれ, Onset timeが48時間以内であると予後不良といわれている. 破傷風の診断がつき次第, 直ちに局所処置, 化学療法および抗毒素療法として抗破傷風ヒト免疫グロブリンが投与される. 我々が渉猟した範囲では破傷風患者に対するリハビリテーション治療の経過報告は少ない. 今回我々は, 鎮静管理による安静期間が長期に及んだため覚醒以後の身体機能の低下が推察されたが, 回復期に運動強度を漸増した結果, 身体機能の改善を認め自宅退院に至った破傷風症例を経験した. 本症例を通して, 若干の知見を得たので, 治療経過に考察を加えて報告する.
ISSN:0375-9172