脳卒中による痙性上肢麻痺に対しA型ボツリヌス毒素施注療法を行い複合感覚障害が改善した1例 - 脳の可塑性を介した変化に関する考察

「I. 緒言」 A型ボツリヌス毒素(以下BoNT-A)は, 1996年眼瞼痙攣, 2000年片側顔面痙攣, 2001年痙性斜頚, 2009年2歳以上の小児脳性麻痺患者における下肢痙縮に伴う尖足, 2010年上下肢痙縮が保険適応対象の疾患となった. 近年BoNT-A療法の痙性上肢麻痺に関する効果の報告が相次ぎ, 特にリハビリテーションとBoNT-Aを併用することによる運動機能の回復への効果が注目されている. 一方で, BoNT-Aの感覚障害に対する効果はよく知られておらず, 特に複合感覚に対する効果は知られていない. 今回我々は, 脳卒中後痙性上肢麻痺に対してBoNT-A施注を行い, 治療前後で...

Ausführliche Beschreibung

Gespeichert in:
Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:東京慈恵会医科大学雑誌 2014-05, Vol.129 (3), p.101-106
Hauptverfasser: 菅原匡宏, 粳間剛, 塩崎奈月, 寶田深峰, 梶原宗介, 安保雅博
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
Tags: Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
Beschreibung
Zusammenfassung:「I. 緒言」 A型ボツリヌス毒素(以下BoNT-A)は, 1996年眼瞼痙攣, 2000年片側顔面痙攣, 2001年痙性斜頚, 2009年2歳以上の小児脳性麻痺患者における下肢痙縮に伴う尖足, 2010年上下肢痙縮が保険適応対象の疾患となった. 近年BoNT-A療法の痙性上肢麻痺に関する効果の報告が相次ぎ, 特にリハビリテーションとBoNT-Aを併用することによる運動機能の回復への効果が注目されている. 一方で, BoNT-Aの感覚障害に対する効果はよく知られておらず, 特に複合感覚に対する効果は知られていない. 今回我々は, 脳卒中後痙性上肢麻痺に対してBoNT-A施注を行い, 治療前後で, 運動障害の改善とともに複合感覚も改善した症例を経験した. 近年の報告においては, 脳の一部が破壊された場合と同様に, 脳への入出力が変化した場合にも, それに伴った可塑的変化が引き起こされる可能性が指摘されており, 身体の各部位からの固有感覚や皮膚感覚などの感覚入力あるいは運動出力の多少によって脳は可塑的に変化すると考えられる.
ISSN:0375-9172