12. 前立腺癌治療中に組織型の変化を認め, 異所性ACTH症候群を発症した1例
症例は77歳, 男性. 2006年9月に近医にてPSAの高値を指摘され, 東京慈恵会医科大学附属青戸病院(当院)泌尿器科を受診. 生検にて前立腺癌(腺癌)と診断し, ピカルタミド80mg/日の内服を開始した. その後PSAは正常化し, 変化を認めていなかったが, 前立腺の腫大, および全身浮腫の悪化を認め, 2010年3月に当院泌尿器科入院. 入院時血液検査にて, K2.7mmmol/lと低K血症を認めたため総合内科紹介となった. ホルモン基礎値にてACTH406pg/ml, コルチゾール62.5μg/dlと上昇を認め, Cushing病を疑い画像検索を行ったが, 下垂体には腫瘍を認めず, 他...
Gespeichert in:
Veröffentlicht in: | 東京慈恵会医科大学雑誌 2012, Vol.127 (1), p.33-33 |
---|---|
Hauptverfasser: | , , , , , , , , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
Tags: |
Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
|
Zusammenfassung: | 症例は77歳, 男性. 2006年9月に近医にてPSAの高値を指摘され, 東京慈恵会医科大学附属青戸病院(当院)泌尿器科を受診. 生検にて前立腺癌(腺癌)と診断し, ピカルタミド80mg/日の内服を開始した. その後PSAは正常化し, 変化を認めていなかったが, 前立腺の腫大, および全身浮腫の悪化を認め, 2010年3月に当院泌尿器科入院. 入院時血液検査にて, K2.7mmmol/lと低K血症を認めたため総合内科紹介となった. ホルモン基礎値にてACTH406pg/ml, コルチゾール62.5μg/dlと上昇を認め, Cushing病を疑い画像検索を行ったが, 下垂体には腫瘍を認めず, 他前立腺以外の腫瘍性病変も指摘できなかった. このため, 前立腺癌からのACTH産生が疑い, 前立腺生検を再度施行したところ, 前回生検時は腺癌であったが, 今回の生検では腺癌細胞は認められず, 小細胞癌のみが認められた. ACTH染色や各種神経内分泌染色にて陽性細胞が散見されたため, 前立腺癌原発の異所性ACTH症候群と診断した. トリロスタン240mg/日の内服を開始したところK3.8mmmol/l, コルチゾール29.0μg/dlまで改善を認め, 浮腫も改善傾向を認めたが, その後心不全および前立腺癌の増悪に伴い全身状態不良となり, 永眠された. 異所性ACTH症候群は, 肺小細胞癌および気管支カルチノイドが多く前立腺癌原発は稀とされており, 国内外の文献では18症例の報告を認めるにすぎない. 過去の報告と比較考察を加え報告する. |
---|---|
ISSN: | 0375-9172 |