27. 自発性低血糖症を呈した2症例

症例1:61歳女性.2008年より倦怠感等の低血糖様症状が出現した. 今年4月インスリノーマが疑われ入院となった. 持続血糖モニター機器(CGM)を用いて72時間にわたる絶食試験を行った. 50時間後血糖値は52mg/dlまで下降するも, インスリンの過剰分泌は認めなかった. また, 経口ブドウ糖負荷試験では血糖値のピークは60分であり, インスリン分泌は遅延・過剰パターンを示した. インスリン過剰に反応した血糖値は90分後に下降を示したが低血糖は認められなかった. 更に下がりかけた血糖に応じてimmunoreactive insulin(IRI)はいったん下がるものの, 血糖値の再上昇に伴い...

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Veröffentlicht in:東京慈恵会医科大学雑誌 2011, Vol.126 (5), p.206-207
Hauptverfasser: 金井友哉, 川名真央, 齋藤三和, 中村明日香, 松浦憲一, 森豊, 横山淳一
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:症例1:61歳女性.2008年より倦怠感等の低血糖様症状が出現した. 今年4月インスリノーマが疑われ入院となった. 持続血糖モニター機器(CGM)を用いて72時間にわたる絶食試験を行った. 50時間後血糖値は52mg/dlまで下降するも, インスリンの過剰分泌は認めなかった. また, 経口ブドウ糖負荷試験では血糖値のピークは60分であり, インスリン分泌は遅延・過剰パターンを示した. インスリン過剰に反応した血糖値は90分後に下降を示したが低血糖は認められなかった. 更に下がりかけた血糖に応じてimmunoreactive insulin(IRI)はいったん下がるものの, 血糖値の再上昇に伴いIRIは上昇し, 2峰性の分泌パターンを示した. インスリン過剰分泌に反応する血糖下降が低血糖つながった可能性が示唆される特発性食後低血糖症の1例を経験した. 症例2:34歳女性. 幼児期より, 反復するケトン性低血糖を認めた. 成人後も低血糖様症状を空腹時に自覚するも, 糖質摂取で軽快していた. 20XX年X月2日, 夕食摂取後, 頻回の下痢, 嘔吐出現しその後, 全身の発汗, 動悸, 脱力を自覚したため, 糖質摂取したが症状改善せず, 徐々に意識朦朧状態となった. 翌日, 部屋で倒れているところを発見され, 救急搬送. 血糖3mg/dlと著明な低血糖認めた. 入院後CGMを用いて行った絶食試験で, 32時間後に血糖値26mg/dlと低血糖を認めた. 低血糖時のインスリンの分泌は抑制されて, グルカゴン, カテコールアミンなどのInsulin Counter regulatory hormonesは上昇していた. 絶食後約29時間までの血糖値は60mg/dl以上を維持されていたことから, 肝臓のグリコーゲン分解からのブドウ糖供給は正常に行われていた可能性がある. しかし, グリコーゲンが枯渇後はグルカゴンに反応せず, ブドウ糖新生過程に関与する代謝経路に障害がある可能性が示唆された1例を経験した. 持続血糖モニター下での絶食試験は自発性低血糖症の病態解析にきわめて有用であった.
ISSN:0375-9172