IgEに関する新たな概念の探求
「I. IgEが発見された頃」アレルギーを引き起こす抗体はレアギンとよばれていた. レアギンがIgEであることを発見したのは石坂公成・照子の両先生で, アレルギー反応を分子を介して理解する基盤ができた(Fig.1). 石坂先生のもとでは多田富雄先生や岸本忠三先生をはじめとする免疫学者が育ち, これらの先生とその門下生がわが国の免疫学を発展させた. IgEの研究は日本の近代免疫学の原点ともいえる. IgEはアレルギー患者で産生されるのに加えて, 寄生虫感染症でも多量に産生される. 寄生虫感染によるIgEの研究は宿主寄生体相互関係の理解とアレルギーの理解に繋がる. ここでいう寄生虫とは多細胞性寄生...
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Veröffentlicht in: | 東京慈恵会医科大学雑誌 2011-07, Vol.126 (4), p.149-162 |
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1. Verfasser: | |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 「I. IgEが発見された頃」アレルギーを引き起こす抗体はレアギンとよばれていた. レアギンがIgEであることを発見したのは石坂公成・照子の両先生で, アレルギー反応を分子を介して理解する基盤ができた(Fig.1). 石坂先生のもとでは多田富雄先生や岸本忠三先生をはじめとする免疫学者が育ち, これらの先生とその門下生がわが国の免疫学を発展させた. IgEの研究は日本の近代免疫学の原点ともいえる. IgEはアレルギー患者で産生されるのに加えて, 寄生虫感染症でも多量に産生される. 寄生虫感染によるIgEの研究は宿主寄生体相互関係の理解とアレルギーの理解に繋がる. ここでいう寄生虫とは多細胞性寄生虫のことである. IgEが同定された1966年, 私は東京教育大学理学部生物学科動物学専攻の学生であった. 大学で受けた教育は私の生き方に大きな影響を与えた. 東京教育大学には教養課程がなく, 各専門課程の序論が教養の単位修得にあてられた. |
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ISSN: | 0375-9172 |