23. 東京慈恵会医科大学附属第三病院における血液培養結果の解析と対策

背景:東京慈恵会医科大学附属第三病院(当院)では2010年より感染制御室および総合診療部により血液培養ラウンドを毎週定期的に実施している. 血液培養は感染症の診断および治療において非常に重要な検査である. 目的:当院における血液培養検査の実施状況に関する現状評価および血液培養結果の解析による菌血症の診断成績向上のための対策の検討. 対象:2010年4月から2010年9月に採取された血液培養2126検体(小児科患者検体を除く). 方法:上記2126検体についての培養結果, 患者数, CVC(central venous catheter)挿入の有無, 採取状況について集計, 分析した. 結果:全...

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Veröffentlicht in:東京慈恵会医科大学雑誌 2011, Vol.126 (1), p.55-55
Hauptverfasser: 野口正朗, 泉祐介, 関正康, 山田高広, 吉川哲矢, 平本淳, 松澤真由子, 竹田宏
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:背景:東京慈恵会医科大学附属第三病院(当院)では2010年より感染制御室および総合診療部により血液培養ラウンドを毎週定期的に実施している. 血液培養は感染症の診断および治療において非常に重要な検査である. 目的:当院における血液培養検査の実施状況に関する現状評価および血液培養結果の解析による菌血症の診断成績向上のための対策の検討. 対象:2010年4月から2010年9月に採取された血液培養2126検体(小児科患者検体を除く). 方法:上記2126検体についての培養結果, 患者数, CVC(central venous catheter)挿入の有無, 採取状況について集計, 分析した. 結果:全対象検体からの検出菌は, グラム陽性球菌が55%を占めており, さらに検出されたブドウ球菌属の内3/4以上がメチシリン耐性であった. 市中発症例では, グラム陰性桿菌, とくに大腸菌などの腸内細菌群が多数を占めていた. 院内発症例では, グラム陽性球菌の割合が全対象検体よりもさらに高比率であった. CVC挿入例では, グラム陽性球菌の割合が著明に高く, 検出されたブドウ球菌の内84%がメチシリン耐性であった. 血液培養実施率および2セット採取率は, 検体提出部署により偏在がみられた. 考察:CVC挿入例では, グラム陽性球菌が多く検出されていることから, 皮膚表在菌による汚染菌が検出される可能性が高いことが示唆される. 従って, 1セット採取のみの培養結果からでは血流感染の存在の有無や起炎菌確定が困難であり, 菌血症の診断・治療における判断根拠が希薄となることが示される. また, CVC挿入例においてはMRSA等の耐性ブドウ球菌が極めて多く, カテーテル感染が疑われた際にはガイドラインに準拠し, 可及的に血培2セット採取後, 第1選択薬として早期にバンコマイシンの経験的投与を開始すべきであると考えられる. また, 検体提出部署により, 血培実施率および2セット採取率の偏在傾向がみられたため, 要因について再検討し, 血培実施率および2セット採取率の向上に寄与すべく, 今後さらに院内における血培実施状況の監視ならびに教育啓蒙活動を充実していく必要があると考えられた.
ISSN:0375-9172