16. 院内の湿潤環境における環境由来菌と感染対策
ブドウ糖非発酵性グラム陰性桿菌, Serratia marcescens等は, 院内の湿潤環境から高頻度に検出され, 易感染宿主に対してしばしば血流感染・呼吸器感染を惹起する要因となる. これらの微生物が, 医療環境に一旦蔓延, 定着した場合, 病院環境から駆除することは容易ではなく, 医療従事者の手指, または呼吸器療法器材等の器具を介した医療関連感染に繋がるリスクを増大させる. さらに, これらの最近は本来的に抗菌薬に対して自然耐性を有しており, ひとたび感染症を惹起した場合, 治療に難渋することが予見される. 平成18年のICT設置に伴い, 院内の環境整備に視点を置いた病棟現場ラウンドの...
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Veröffentlicht in: | 東京慈恵会医科大学雑誌 2011, Vol.126 (1), p.50-51 |
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Hauptverfasser: | , , , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | ブドウ糖非発酵性グラム陰性桿菌, Serratia marcescens等は, 院内の湿潤環境から高頻度に検出され, 易感染宿主に対してしばしば血流感染・呼吸器感染を惹起する要因となる. これらの微生物が, 医療環境に一旦蔓延, 定着した場合, 病院環境から駆除することは容易ではなく, 医療従事者の手指, または呼吸器療法器材等の器具を介した医療関連感染に繋がるリスクを増大させる. さらに, これらの最近は本来的に抗菌薬に対して自然耐性を有しており, ひとたび感染症を惹起した場合, 治療に難渋することが予見される. 平成18年のICT設置に伴い, 院内の環境整備に視点を置いた病棟現場ラウンドの実施により, 湿潤環境, とくに水回りにおける環境および, 器材の洗浄・消毒・乾燥に対する問題点が抽出された. 抽出された問題点について, スポルディング分類に基づき, 各器材の衛生水準に合致したレベルが担保できるように, 設備整備, 啓蒙・教育, 洗浄消毒作業に関する業務整理と, 再分担等の対策を段階的に実施した. 3年間の院内検出微生物モニタリングでは, 指標とする微生物検出数の減少が見られ, 耐性菌対策と共に一定の効果が確認できた. ただし, これらの結果については, 院内全体の, 抗菌薬の使用傾向, 直接・間接接触感染の原因となる, 手指衛生の実施状況などが総合的効果として反映されていると考えられる. 今後の課題として, 専門性に富んだ役割分担から, 更なる洗浄消毒業務の細分化を図り, 効率的, かつ効果的に水回りを主とした医療環境の整備を行うことが必要と考える. |
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ISSN: | 0375-9172 |