13. 病棟における手指消毒剤の使用状況
患者の高年齢化や高度医療の発展に伴う易感染者の増加, 多剤耐性菌の流行により院内における難治性感染症の急速な感染拡大が懸念されており, 現代において院内感染防止は病院の社会的責務となった. 手指は接触感染の主な経路であり, 感染症の発生を未然に予防する方法として手指衛生(手洗いおよび手指消毒)は最も簡便で, 効果的な方法である. 米国疾病予防局(CDC)によるガイドラインにおいても, 患者環境に接触する際に手指消毒することが推奨されている. このように, 感染対策には手指衛生の徹底が必要であり, 適正な消毒回数と使用量で行われることが重要である. そこで今回の調査は各病棟における手指消毒回数を...
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Veröffentlicht in: | 東京慈恵会医科大学雑誌 2011, Vol.126 (1), p.49-49 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 患者の高年齢化や高度医療の発展に伴う易感染者の増加, 多剤耐性菌の流行により院内における難治性感染症の急速な感染拡大が懸念されており, 現代において院内感染防止は病院の社会的責務となった. 手指は接触感染の主な経路であり, 感染症の発生を未然に予防する方法として手指衛生(手洗いおよび手指消毒)は最も簡便で, 効果的な方法である. 米国疾病予防局(CDC)によるガイドラインにおいても, 患者環境に接触する際に手指消毒することが推奨されている. このように, 感染対策には手指衛生の徹底が必要であり, 適正な消毒回数と使用量で行われることが重要である. そこで今回の調査は各病棟における手指消毒回数を算出し, 手指衛生の現状を把握するとともに, 調査結果を現場へフィードバックし, 手指衛生の徹底を促すことを目的とした. 調査方法:まず手指衛生の目安として当院採用消毒薬ウェルパス(R)による手指消毒の使用回数を指針とした. 病棟ごとの患者1人に対する1日の平均手指消毒回数は, 7月から10月までのウェルパス(R)の総出庫数を入院患者数および, 1回消毒あたりの使用量(3ml)で割ることによりもとめた. 病棟での実際の使用状況を調査するため, ウェルパス(R)の開封日を月に1度調べ, 更新率を求めた. 結果:7月から10月までのウェルパス(R)出庫数と, 総入院患者数より, 病棟ごとの患者1人に対する平均手指消毒回数をもとめ表にしたところ, 最も少ない病棟で0.75回, 最も多い病棟で2.21回となり, 病院全体では1.42回であった. 7月から10月までのウェルパス(R)の開封日の調査より, 更新率を求めてグラフ化したところ, 9月に更新率の低下が見られたが, その他の月では大きな変動はなかった. 9月は入院患者数が少なく, それに伴いウェルパス(R)出庫数も減少傾向を示した. 考察:CDCによるガイドラインでは, 1患者に対し1処置で少なくとも2回(患者に接する前と患者環境に触れた後)手指衛生を行うことを推奨しているが, 東京慈恵会医科大学附属第三病院では平均手指消毒回数が2回を下回ったため, 手指消毒の回数が不十分である可能性が考えられた. 平均手指消毒回数が少なかったため, 実際の1回あたりのウェルパス(R)使用量が計算に用いた3mlよりも少ないことが考えられた. 以上のことより, 各病棟での手指衛生の現状は, 十分に消毒が行われているとは考えづらかった. 感染制御室より手指衛生の現状を現場にフィードバックしたが, 改善はみられなかった. 今後も継続的な調査と注意喚起を行うことにより, 手指衛生を徹底し, 院内感染制御につなげることが必要であると考えられた. |
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ISSN: | 0375-9172 |