18. 初めて高血圧症と診断された人の臨床像
目的:高血圧の発症年齢には男女差があり, 男性はより若年で発症し, 女性では更年期を境に増加することが知られている. 未治療高血圧症の臨床像および性差を比較検討した. 方法:187人の未治療高血圧症(男性101人, 女性86人, 平均年齢58.7歳, 平均血圧164.9/98.6mmHg)を対象とした. 結果:男性は平均年齢56.5歳, 体格指数(BMI)24.7kg/m2, 女性は61.3歳, BMI23.8kg/m2と, 女性の年齢が有意に高値(p<0.01)であった. 喫煙率・飲酒率はそれぞれ男性52%・73%, 女性9%・20%(p<0.05)であった. 血圧・心拍数は同等でBNPは女...
Gespeichert in:
Veröffentlicht in: | 東京慈恵会医科大学雑誌 2011, Vol.126 (1), p.38-39 |
---|---|
Hauptverfasser: | , , , , , , , , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
Tags: |
Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
|
Zusammenfassung: | 目的:高血圧の発症年齢には男女差があり, 男性はより若年で発症し, 女性では更年期を境に増加することが知られている. 未治療高血圧症の臨床像および性差を比較検討した. 方法:187人の未治療高血圧症(男性101人, 女性86人, 平均年齢58.7歳, 平均血圧164.9/98.6mmHg)を対象とした. 結果:男性は平均年齢56.5歳, 体格指数(BMI)24.7kg/m2, 女性は61.3歳, BMI23.8kg/m2と, 女性の年齢が有意に高値(p<0.01)であった. 喫煙率・飲酒率はそれぞれ男性52%・73%, 女性9%・20%(p<0.05)であった. 血圧・心拍数は同等でBNPは女性でやや高値(29.2 vs. 33.2pg/ml)であった. 血清クレアチニン(0.81 vs. 0.58mg/dl, p<0.0001), 尿酸(6.3 vs. 4.5mg/dl, p<0.0001)), 中性脂肪(141.2 vs. 104.7mg/dl, p<0.01))は男性で有意に高く, 総コレステロール(199.3 vs. 215.1mg/dl, p<0.05), HDLコレステロール(53.2 vs. 58.2mg/dl, p<0.05)は女性で有意に高値であった. 心エコーによる左室駆出分画(EF), 拡張能の指標であるE/A比, 求心性リモデリングの指標である左室後壁/拡張期径比(RT)に有意差はなかった. 年齢との関係では, 男性ではlogBNP(r=0.363, p=0.0003)と正の相関があり, E/A比(r=-0.363, p=0.0006), BMI(r=-0.382, p<0.0001), 尿酸(r=-0.311, p=0.0035), 中性脂肪(r=-0.331, p=0.0051)と負の相関がみられた. 補正後もlogBNP, BMIとの有意な関連性がみられた. 女性ではlogBNP(r=0.301, p=0.0053), RT(r=0.349, p=0.0020), クレアチニン(r=0.255, p=0.024)と正の相関があり, E/A比(r=-0.522, p<0.0001)と負の相関がみられた. 補正後もE/A比, クレアチニンは独立して年齢との関連性がみられた. 結論:治療開始年齢は男性が女性と比較して5歳若年であった. 男性では若年者の発症にメタボリック・シンドロームの関与が示唆された. 女性では高齢者において求心性リモデリングと腎機能低下がみられた. 降圧治療については, とくに若年男性では生活習慣の改善が, 女性では拡張不全に留意する必要があると思われた. |
---|---|
ISSN: | 0375-9172 |