46. 宇宙環境が生体に与える影響のメダカを用いた解析
国際宇宙ステーションが本格起動し, 宇宙飛行士の長期滞在が実現した. 宇宙環境において宇宙飛行士が受けるストレス影響の理解と環境改善のための基礎データ取得は, 宇宙環境における健康管理において今後ますます重要となる. メダカは, 宇宙でその一生を観察できる脊椎動物であり, 透明な発生期や成魚でも色素欠損の系統を有し, 遺伝学的手法が容易であるなどの利点を持つ. 我々は, ヒトとメダカの類似点を利用し, ストレスの生体への影響を評価している. 本発表では, メダカ内臓のライブ・イメージングによる解析手法を紹介する. 目的:宇宙環境におけるストレス影響を心拍解析や消化管機能などから検証するために,...
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Veröffentlicht in: | 東京慈恵会医科大学雑誌 2010, Vol.125 (6), p.225-225 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 国際宇宙ステーションが本格起動し, 宇宙飛行士の長期滞在が実現した. 宇宙環境において宇宙飛行士が受けるストレス影響の理解と環境改善のための基礎データ取得は, 宇宙環境における健康管理において今後ますます重要となる. メダカは, 宇宙でその一生を観察できる脊椎動物であり, 透明な発生期や成魚でも色素欠損の系統を有し, 遺伝学的手法が容易であるなどの利点を持つ. 我々は, ヒトとメダカの類似点を利用し, ストレスの生体への影響を評価している. 本発表では, メダカ内臓のライブ・イメージングによる解析手法を紹介する. 目的:宇宙環境におけるストレス影響を心拍解析や消化管機能などから検証するために, メダカによるライブ・イメージングの手法を用いて評価する系を確立することを目的とした. 方法:本研究の最大のポイントは, リアルタイムかつ非侵襲的に体内を観察できることにある. また, メダカは十分に小さいため, 1台のカメラで複数の臓器を同時に撮影することができ, 臓器間での相互関係を評価可能である. 腹膜の透明な系統(SK2およびT5)を用いて, 無麻酔下での状態を撮影した. 実体顕微鏡上で高速度高解像度カメラによる撮影を行った. 撮影は, 5分程度とし, メダカへの負担を極力軽減した. 得られた映像から, 時間軸に沿った体内運動を, 解析・処理し, 蠕動運動及び心拍の測定を行った. 結果:本解析方法を用いて, 腸管の蠕動運動および心拍の頻度を評価することができることが明らかとなった. 得られた個体では, 蠕動運動時の収縮期が周期のほぼ半分を占めていること, 心拍変動を画像から捉えることが可能であることが明らかとなった. 結論および考察:本研究では, メダカを用いたライブ・イメージングによりメダカ体内の運動を観察する系の確立と, 得られた画像を元にした運動の定量化ができることが明らかとなった. 今後は, 各種ストレス環境下での体内動態の評価に加えて, 自律神経系作用薬剤スクリーニングなどを行う予定である. あわせて, ヒトとの機能面での相違点を明らかにし, ISS長期滞在宇宙飛行士の医学管理技術への応用に役立てる. 本研究は, 東京大学三谷啓志教授およびその教室員の方々, お茶の水女子大学馬場昭次名誉教授, 山口大学佐々木功典教授及びその教室員の方々に協力をいただいている. |
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ISSN: | 0375-9172 |