14. 異所性蒙古斑の治療時期による治療成績の比較
蒙古斑はアジア系民族に生下時よりみられる臀部の色素斑であり, 多くの場合は就学時に自然消褪するといわれている. 異所性蒙古斑は臀部以外に見られるものの総称であるが, 通常の蒙古斑よりやや消えないで残る傾向がある. 治療としてはQスイッチルビーレーザーが有効であり, その効果は小児のほうがよいことも報告されている. 今回我々は異所性蒙古斑に対してQスイッチルビーレーザーを照射し, 成人と小児で治療効果や合併症などで異なる結果を得たので報告する. 対象は1998年から2008年までの間に当科を訪れた異所性蒙古斑患者17例で, 患者の年齢, 性別, 照射部位, 回数, Fluence, 治療成績,...
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Veröffentlicht in: | 東京慈恵会医科大学雑誌 2010, Vol.125 (5), p.185-185 |
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Hauptverfasser: | , , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 蒙古斑はアジア系民族に生下時よりみられる臀部の色素斑であり, 多くの場合は就学時に自然消褪するといわれている. 異所性蒙古斑は臀部以外に見られるものの総称であるが, 通常の蒙古斑よりやや消えないで残る傾向がある. 治療としてはQスイッチルビーレーザーが有効であり, その効果は小児のほうがよいことも報告されている. 今回我々は異所性蒙古斑に対してQスイッチルビーレーザーを照射し, 成人と小児で治療効果や合併症などで異なる結果を得たので報告する. 対象は1998年から2008年までの間に当科を訪れた異所性蒙古斑患者17例で, 患者の年齢, 性別, 照射部位, 回数, Fluence, 治療成績, 合併症について調査した. 患者の平均年齢は17.9歳で性別は女性が13名, 男性4名であった. 照射部位は臀部周囲が7例と最も多かった. 照射回数は平均4.4回であったが, 10歳以下での平均回数は1.5回であるのに対して20歳以上では3.8回であった. 治療成績については10歳以下では7例中6例で消失したが, 照射後の色素脱失が全例で見られた. 10歳以上では蒙古斑は消失しているが, 強い色素沈着を生じた症例が50%で見られ, しかも色素沈着の消褪は遅かった. Fluenceは10歳以上群でやや大きい傾向にあった. 異所性蒙古斑に対するQスイッチルビーレーザー照射術の結果は, 10歳以下の症例では良好であるにもかかわらず, 10歳以上では蒙古斑の色調は改善したものの強い色素沈着が生じるという結果が生じた. 色素沈着が生じた症例でのFluenceがとくに大きいというわけではなく, しかも部位はすべて衣服に隠れる場所であったことから日光による影響はないものと考えられた. したがって, 異所性蒙古斑が消褪せずに残った部位のメラノサイトは成長により変化し, レーザー照射に対して易刺激性となり, 色素沈着が高率に生じる可能性が示唆された. 今後, さらに症例を増やして適切な治療時期などについて検討を重ねていきたい. |
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ISSN: | 0375-9172 |