1. Eplerenoneによる抗動脈硬化作用の検討:CAVIを指標として

背景:アルドステロンは血管の構造変化(リモデリング), 内皮機能障害を引き起こすといわれており, ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬が高血圧動物モデルにおいて血管の弾性低下を抑制したと報告されている. 一方, 近年動脈硬化を簡便に計る方法として, CAVIの有用性が指摘されている. 目的:ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬の一種であるeplerenone投与により全身の動脈硬化が改善するか否かを調べることである. 対象:東京慈恵会医科大学附属第三病院に外来通院している高血圧患者に対して, CAVI, 採血を同時期に施行した33例(男性20例, 女性13例, 平均年齢70±7.2歳)を対象とした....

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Veröffentlicht in:東京慈恵会医科大学雑誌 2010, Vol.125 (2), p.61-61
Hauptverfasser: 堤穣志, 芝田貴裕, 角田聖子, 村嶋英達, 井上彰雅, 浦部晶博, 森力, 梶原秀俊, 妹尾篤史, 吉村道博
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:背景:アルドステロンは血管の構造変化(リモデリング), 内皮機能障害を引き起こすといわれており, ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬が高血圧動物モデルにおいて血管の弾性低下を抑制したと報告されている. 一方, 近年動脈硬化を簡便に計る方法として, CAVIの有用性が指摘されている. 目的:ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬の一種であるeplerenone投与により全身の動脈硬化が改善するか否かを調べることである. 対象:東京慈恵会医科大学附属第三病院に外来通院している高血圧患者に対して, CAVI, 採血を同時期に施行した33例(男性20例, 女性13例, 平均年齢70±7.2歳)を対象とした. 急性心筋梗塞など急性疾患, 心房細動, eGFR<50ml/min, 血清K値>5.0mg/dl症例は除外した. 方法:CAVI, 収縮期血圧, 血液検査(BNP, クレアチニン値, 血清K値)を施行しeplerenone50mg投与した. 1ヵ月後のCAVI, 収縮期血圧, 血液検査に改善があるか否かを求めた. 内服薬の変更は行なわずeplerenone50mgを追加投与した. 結果:eplerenone50mg投与前および投与1ヵ月後の各々の測定値の平均±標準誤差を示す. CAVIは(9.82±0.23 vs 9.41±0.24p<0.05)と有意に改善を認めた. 収縮期血圧(141.3±3.19 vs 141.4±3.19mmHg)BNP(68.0±13.6 vs 57.5±13.2g/dl)血清K値(4.19±0.06 vs 4.18±0.05mg/dl)はいずれも有意差を認めなかった. クレアチニン値は(0.82±0.04 vs 0.90±0.04mg/dl p<0.05)と若干の増悪傾向を示した. Ca拮抗薬, ACE-I/ARB, スタチン, β遮断薬の内服の有無によるCAVIへの影響は認めなかった. 総括:収縮期血圧, BNP, 血清K値はeplerenone50mgにて改善を認めなかったがCAVIは有意差をもって改善した. またCAVIの改善は高動脈硬化作用のある, ACE-I/ARB内服の有無によらなかった. このことはeplerenoneによる抗アルドステロン作用が血圧とは無関係に全身の動脈硬化の改善に影響していることが示唆された.
ISSN:0375-9172