39. 頭頸部癌切除, 再建手術における合併症回避の工夫
頭頸部癌の外科的療法では, 術後の整容面, 機能面の損失の大きさ, 術後の高い合併症率がしばし問題となる. 1980年代よりマイクロサージャリーが導入され飛躍的に進歩したが, 以前として頭頚部癌手術の術後合併症は, 他領域の癌切除手術より高率であり, 文献上合併症発生率は一様に25~30%前後である. 当院でもあらゆる面で合併症対策を講じ, 頭頸部外科チームとしてコメデイカルと協力し, 安全な外科的療法の確立のため, 周術期の管理にさまざまな改善策を導入した. 具体的には, 1)術前管理(舌癌や咽頭癌などで経口摂取が低下している症例の補液など) 2)手術時間短縮のための工夫(2チームでの手術,...
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Veröffentlicht in: | 東京慈恵会医科大学雑誌 2009, Vol.124 (6), p.272-272 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 頭頸部癌の外科的療法では, 術後の整容面, 機能面の損失の大きさ, 術後の高い合併症率がしばし問題となる. 1980年代よりマイクロサージャリーが導入され飛躍的に進歩したが, 以前として頭頚部癌手術の術後合併症は, 他領域の癌切除手術より高率であり, 文献上合併症発生率は一様に25~30%前後である. 当院でもあらゆる面で合併症対策を講じ, 頭頸部外科チームとしてコメデイカルと協力し, 安全な外科的療法の確立のため, 周術期の管理にさまざまな改善策を導入した. 具体的には, 1)術前管理(舌癌や咽頭癌などで経口摂取が低下している症例の補液など) 2)手術時間短縮のための工夫(2チームでの手術, 同一体位で可能な皮弁選択) 3)術中の工夫(筋体による死腔充填, 移植床血管温存のための選択的頚部郭清など) 4)術後管理(早期離床, 術直後からの口腔内ケア, 早期飲水開始など)を施行した. 当院で2001年1月~2009年3月までに頭頸部再建手術を施行した343例を評価した. 導入前の全合併症率は28%(50/181例)で, 導入後は17%(27/162例)であった. 特に頚部瘻孔などの局所合併症率は19%(35例)から4%(7例)まで減少した. 局所合併症を減らす目的で導入したが, それに伴い, 全身合併症率が9%(18例)から0.6%(1例)に減少した. 合併症低下の重要な要因の1つは, 看護師による術後の口腔内ケアであることが示唆された. また早期離床は不穏などを劇的に減らし, マイクロサージャリーの血栓率を減らすことにつながった. |
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ISSN: | 0375-9172 |