17. 13C-glucose呼気試験を用いたバイオ人工肝臓における糖代謝の検討

目的:近年, 様々な肝疾患とインスリン抵抗性の関連が注目されている. 我々は, 肝臓での糖代謝の動態を簡便かつ非浸襲的に評価する新たな診断系として, 13C-glucose呼気試験の確立を目指している. 今回は, 肝臓での糖代謝を13C-glucose呼気試験が反映するかシミュレーションする目的で, ミニバイオ人工肝臓を構築し, その糖代謝を検討した. 方法:5ml容量のラジアルフロー型バイオリアクター(RFB)に, マウス不死化肝細胞IMH4, 星細胞A7および類洞内皮細胞M1を3次元共培養し, ミニ肝臓を作製した. RFBシステムは, RFB, リザーバー, 混合ガス供給装置から構成され,...

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Veröffentlicht in:東京慈恵会医科大学雑誌 2009, Vol.124 (6), p.258-259
Hauptverfasser: 田中賢, 松浦知和, 松本喜弘, 永妻啓介, 前橋はるか, 中田浩二, 相澤守, 齋藤勝也, 松林恒夫, 池脇克則, 鈴木政登, 田尻久雄
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:目的:近年, 様々な肝疾患とインスリン抵抗性の関連が注目されている. 我々は, 肝臓での糖代謝の動態を簡便かつ非浸襲的に評価する新たな診断系として, 13C-glucose呼気試験の確立を目指している. 今回は, 肝臓での糖代謝を13C-glucose呼気試験が反映するかシミュレーションする目的で, ミニバイオ人工肝臓を構築し, その糖代謝を検討した. 方法:5ml容量のラジアルフロー型バイオリアクター(RFB)に, マウス不死化肝細胞IMH4, 星細胞A7および類洞内皮細胞M1を3次元共培養し, ミニ肝臓を作製した. RFBシステムは, RFB, リザーバー, 混合ガス供給装置から構成され, 混合ガス供給装置からCO2・空気の混合ガスがリザーバーに供給される. AFS104N培養液にさらにD-グルコースと13C-glucoseを添加して還流させ, リザーバー内の還流培養液の気相よりの排出ガスを呼気バッグに回収し, その中の13CO2経時的に測定した. ミニバイオ人工肝臓を用いて, 肝臓に作用するビグアナイド剤であるメトホルミン塩酸塩(大日本住友製薬(株)より供与)やその他の薬剤の作用を13C-glucose呼気試験で評価できるか検討した. 結果:まず, 3次元共培養により, 2台のミニバイオ人工肝臓を同期して稼動させ, 一方をコントロールとし, 他方にメトホルミン塩酸塩を添加すると, メトホルミン塩酸塩添加ミニバイオ人工肝臓では, グルコース濃度の低下を認めた. さらに, 13CO2の排出による評価では, 著明に上昇しグルコース濃度よりも高感度な測定系と考えられた. 結論:ミニバイオ人工肝臓における糖代謝の動態を13C-glucose呼気試験で, 簡易かつ鋭敏に評価できた. 糖代謝の動態を簡便かつ高感度に評価する新たな診断系として, この13C-glucose呼気試験を今後臨床応用する際に, このモデルによってその基礎的検討ができると考えられた.
ISSN:0375-9172