C9. 卵巣成熟奇形腫悪性転化の治療後に生児を得た1例
挙児希望のある卵巣悪性腫瘍症例の治療では妊孕性の温存が問題となる. 妊孕性温存を考慮した場合は対象症例, 手術術式, 化学療法について慎重に検討されなければならない. また化学療法施行例では抗がん剤に起因する卵巣機能不全が懸念される. 今回われわれは手術, 化学療法後に妊娠し出産に至った卵巣成熟奇形腫悪性転化の1例を経験したので文献的考察を含め報告する. 症例は29歳, 0経妊0経産, 下腹痛を主訴に受診, 来院時腹部に圧痛を認め超音波検査にて臍上に及ぶ腫瘍を認めた. 腫瘍内部は不整, ダグラス窩に腹水貯留を認めたため卵巣腫瘍破裂疑いにて開腹手術を施行した. 開腹時少量の腹水を認めた. 右卵巣...
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Veröffentlicht in: | 東京慈恵会医科大学雑誌 2009, Vol.124 (5), p.247-247 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 挙児希望のある卵巣悪性腫瘍症例の治療では妊孕性の温存が問題となる. 妊孕性温存を考慮した場合は対象症例, 手術術式, 化学療法について慎重に検討されなければならない. また化学療法施行例では抗がん剤に起因する卵巣機能不全が懸念される. 今回われわれは手術, 化学療法後に妊娠し出産に至った卵巣成熟奇形腫悪性転化の1例を経験したので文献的考察を含め報告する. 症例は29歳, 0経妊0経産, 下腹痛を主訴に受診, 来院時腹部に圧痛を認め超音波検査にて臍上に及ぶ腫瘍を認めた. 腫瘍内部は不整, ダグラス窩に腹水貯留を認めたため卵巣腫瘍破裂疑いにて開腹手術を施行した. 開腹時少量の腹水を認めた. 右卵巣は約20cm大に腫大し腫瘍内容吸引後, 腫瘍摘出術を施行した. 術後, 病理組織検査にて卵巣成熟奇形腫悪性転化(扁平上皮癌)の診断であった. 進行期診断のため再度, 右付属器切除術, 左卵巣楔状切除術, 右骨盤リンパ節生検, 大網部分切除術を行った. 卵巣癌Ic(b)期(pT1cN0M0)の診断で術後TC療法(paclitaxel:180mg/m2, carboplatin:AUC6)を6コース行った. 月経周期は, 治療前は28日型. 整であったが化学療法中は無月経であった. 最終化学療法より約4ヵ月後に月経再開し, その後は順調であった. 術後24ヵ月(化学療法終了後20ヵ月)で自然妊娠し, 妊娠39週6日3,228g男児を経膣分娩した. 現在術後35ヵ月で再発を認めていない. |
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ISSN: | 0375-9172 |