C5. 両側総頸動脈高度狭窄を合併した高齢者の顔面有棘細胞癌に対する治療経験

目的:高齢化に伴い重篤な合併症を有する高齢者の頭頸部癌治療を行う機会の増加が予想される. 今回, 両側総頸動脈に高度狭窄を合併した高齢者の顔面有棘細胞癌に対する治療を経験したため報告する. 症例:80歳男性. 既往歴, 家族歴に特記事項なし. 現病歴;2年前より左頬部の腫瘍を自覚するも放置し徐々に増大してきた. 前医での病理組織診断で高分化型有棘細胞癌と診断され治療目的で当院紹介された. 初診時所見;左頬部に自壊し疼痛と出血を伴う直径5cm大の腫瘍を認めた. CT上咬筋への浸潤があり, T4N0M0病期IIIであった. 造影CT上右95%左50%の両側総頸動脈狭窄を認めた. 治療;腫瘍辺縁より...

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Veröffentlicht in:東京慈恵会医科大学雑誌 2009, Vol.124 (5), p.245-245
Hauptverfasser: 西村礼司, 武石明精, 酒井新介, 曽我まゆ子
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Zusammenfassung:目的:高齢化に伴い重篤な合併症を有する高齢者の頭頸部癌治療を行う機会の増加が予想される. 今回, 両側総頸動脈に高度狭窄を合併した高齢者の顔面有棘細胞癌に対する治療を経験したため報告する. 症例:80歳男性. 既往歴, 家族歴に特記事項なし. 現病歴;2年前より左頬部の腫瘍を自覚するも放置し徐々に増大してきた. 前医での病理組織診断で高分化型有棘細胞癌と診断され治療目的で当院紹介された. 初診時所見;左頬部に自壊し疼痛と出血を伴う直径5cm大の腫瘍を認めた. CT上咬筋への浸潤があり, T4N0M0病期IIIであった. 造影CT上右95%左50%の両側総頸動脈狭窄を認めた. 治療;腫瘍辺縁より2cm離し, 直接浸潤を認めた咬筋の一部および耳下腺の一部を含めて切除を行った. 顔面神経は直接浸潤を認めた頬筋枝を除いて可及的に温存した. 大腿筋膜による口角吊り上げを行い, 左大胸筋皮弁を用いて再建を行った. 左胸肩峰動脈の胸筋枝が非常に細く, 主栄養血管と考えられた外側胸動脈を代わりに血管茎とした. 術後経過;病理診断では底面で腫瘍が咬筋断端と接していたが, 年齢および合併症を考慮し追加切除は行わなかった. 術後1ヵ月で経過良好であり, 術前のADLまで回復している. 考察:有棘細胞癌は皮膚悪性腫瘍の約3分の1を占め, その発生数は増加傾向にある. 本例のようなT4N0M0有棘細胞癌の治療指針は, 外科的切除が基本である. 本例でも局所進行例であったため確実に出血および疼痛を治療できるよう切除を選択した. 頭頸部再建において遊離皮弁が主流になりつつあるが, 本例では適切な移植床血管の確保が困難であることと, 手術時間を短縮し負担を最小限に抑えるために有茎筋皮弁を選択した. まとめ:両側総頸動脈高度狭窄を合併した高齢者の顔面有棘細胞癌に対して拡大切除および有茎筋皮弁による再建を行い良好な結果を得られた.
ISSN:0375-9172