東京慈恵会医科大学附属柏病院における脳腫瘍に対する新たな治療戦略 ―術中MRIの稼働準備から臨床応用までの道のり

「I. 緒言」悪性グリオーマは, 成人の悪性脳腫瘍の中では最も頻度の高い疾患である. 本疾患に対しては手術, 放射線治療と化学療法を併用する集学的治療が行われているが, 他の悪性腫瘍とは異なり, その治療成績に大きな進歩はみられていない. なかでも神経膠芽腫(glioblastoma;以下GBM)は平均余命が発症から約1年ときわめて予後不良で, 脳神経外科領域において最も治療困難な疾患の一つである1). その最大の理由は, 脳実質内に浸潤性に発育する本腫瘍の特徴にある. 放射線治療や化学療法を行ったとしても, 腫瘍細胞が抗癌剤に対する耐性を獲得したり, 腫瘍容積が大きい場合には治療効果は得にく...

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Veröffentlicht in:東京慈恵会医科大学雑誌 2009-07, Vol.124 (4), p.169-176
Hauptverfasser: 荒井隆雄, 田中俊英, 長谷川譲, 加藤直樹, 土橋久士, 山本洋平, 赤崎安晴, 常喜達裕, 小山勉, 三尾寧, 原田潤太, 阿部俊昭
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「I. 緒言」悪性グリオーマは, 成人の悪性脳腫瘍の中では最も頻度の高い疾患である. 本疾患に対しては手術, 放射線治療と化学療法を併用する集学的治療が行われているが, 他の悪性腫瘍とは異なり, その治療成績に大きな進歩はみられていない. なかでも神経膠芽腫(glioblastoma;以下GBM)は平均余命が発症から約1年ときわめて予後不良で, 脳神経外科領域において最も治療困難な疾患の一つである1). その最大の理由は, 脳実質内に浸潤性に発育する本腫瘍の特徴にある. 放射線治療や化学療法を行ったとしても, 腫瘍細胞が抗癌剤に対する耐性を獲得したり, 腫瘍容積が大きい場合には治療効果は得にくい. やがて脳内に浸潤した腫瘍細胞は局所再発し, この再発病変が患者の余命を左右することになる. したがって本疾患の治療は, 手術で腫瘍を最大限に摘出した後に放射線治療と化学療法で局所再発をいかに制御できるかに主眼が置かれている.
ISSN:0375-9172