A6. 再生不良性貧血はシェーグレン症候群の類縁疾患か?:各種自己抗体解析による検討

目的:再生不良性貧血(AA)の原因は自己免疫機序によると考えられているが, AAに付随する免疫異常はあまり注目されていない. またSjogren症候群(SS)では腺外症状として, 軽度の貧血, 白血球減少, 血小板減少の他, 多彩な自己免疫疾患の合併を特徴とする. AA患者13例に対し, 各種自己抗体を測定し, AAの病因がSSによる可能性を検討する. 対象:男/女は5/8, 年齢は25-79(中央値55)歳, 特発型:11例, 肝炎後:1例, PNH-AA:1例. 重症度分類ではStage2/3/4/5が各1/2/7/3例. 前治療は抗ヒト胸腺グロブリン(ATG)/シクロスポリン(CYA)治...

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Veröffentlicht in:東京慈恵会医科大学雑誌 2009, Vol.124 (1), p.38-39
Hauptverfasser: 片山俊夫, 西脇嘉一, 佐野公司, 萩野剛史, 増岡秀一
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:目的:再生不良性貧血(AA)の原因は自己免疫機序によると考えられているが, AAに付随する免疫異常はあまり注目されていない. またSjogren症候群(SS)では腺外症状として, 軽度の貧血, 白血球減少, 血小板減少の他, 多彩な自己免疫疾患の合併を特徴とする. AA患者13例に対し, 各種自己抗体を測定し, AAの病因がSSによる可能性を検討する. 対象:男/女は5/8, 年齢は25-79(中央値55)歳, 特発型:11例, 肝炎後:1例, PNH-AA:1例. 重症度分類ではStage2/3/4/5が各1/2/7/3例. 前治療は抗ヒト胸腺グロブリン(ATG)/シクロスポリン(CYA)治療11名, 骨髄輸注治療1名, CYA1名, 計13名で, 抗ヒト胸腺細胞グロブリン(ATG)治療後2ヵ月~11年(中央値5年)経過. 骨髄輸注の1例は21年経過し, 慢性C型肝炎を合併. 結果:抗核抗体の陽性例はなかったが, 抗カルジオリピン抗体は1例で陽性. 肝障害を認めたのは11例で, 抗ミトコンドリアM2抗体は1例で陽性, 抗LKM1抗体陽性は1例, 疑陽性1例. 萎縮性胃炎は2例で認められたが, 1例はH.pylori(+), 抗胃壁細胞抗体は5例で陽性. 潜在性の甲状腺機能低下症は1例で認められ, 抗TPO抗体は3例, 抗サイログロブリン抗体は1例で陽性. 糖尿病は4例に合併し, 1例で抗GAD抗体が陽性. アミラーゼの上昇は4例, リパーゼの上昇は2例で認められた. SS-A抗体, SS-B抗体は全例で陰性であったが, 唾液腺シンチグラムでは8例に軽度の機能低下が認められた. 考察・結語:AA13例の解析で多彩な自己抗体が高率に認められた. これは潜在的SSと類似する所見である. SSでは好中球減少, 血小板減少などの血球減少をきたすことも多く認められることから, AAとSSは類縁疾患である可能性が推定される. AAを全身性疾患として診る必要がある.
ISSN:0375-9172