11. 脳血管内治療の現状と未来

昨今の医療において, 治療の低侵襲性が重視されているのは言うまでもない. そのような低侵襲治療を一面で支えているのは, 化学, 工学など科学の進歩である. 体を大きく切らずに病変の治療を可能とする, 内視鏡手術やカテーテル手術は, 科学の進歩の恩恵を受けた, 低侵襲治療の代表であろう. 脳神経外科領域, なかでも脳動脈瘤, 脳梗塞などの脳血管障害の治療においては, カテーテル治療が発展してきている. 本発表では, その脳血管内治療のなかでも最も一般的な, (1)脳動脈瘤(動脈瘤コイル塞栓術), (2)頚部頚動脈狭窄症(頚動脈ステント留置術)に対する治療法を概説する. また慈恵医大附属病院に脳血...

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Veröffentlicht in:東京慈恵会医科大学雑誌 2008, Vol.123 (6), p.376-377
Hauptverfasser: 荏原正幸, 中島真人, 中崎浩道, 關厚二朗, 村山雄一, 坂井春男
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:昨今の医療において, 治療の低侵襲性が重視されているのは言うまでもない. そのような低侵襲治療を一面で支えているのは, 化学, 工学など科学の進歩である. 体を大きく切らずに病変の治療を可能とする, 内視鏡手術やカテーテル手術は, 科学の進歩の恩恵を受けた, 低侵襲治療の代表であろう. 脳神経外科領域, なかでも脳動脈瘤, 脳梗塞などの脳血管障害の治療においては, カテーテル治療が発展してきている. 本発表では, その脳血管内治療のなかでも最も一般的な, (1)脳動脈瘤(動脈瘤コイル塞栓術), (2)頚部頚動脈狭窄症(頚動脈ステント留置術)に対する治療法を概説する. また慈恵医大附属病院に脳血管内治療センターが開設された2003年11月から, 2008年5月までの4年半の, 主要な疾患の治療数と成績を示す. 未破裂脳動脈瘤365治療(そのうち永続的合併症7例(1.9%)死亡1例(0.3%)), 破裂脳動脈瘤74治療, 頚動脈ステント留置術73治療(そのうち永続的合併症3例(4.1%)であった. 手術である以上, 脳血管内治療にもリスクはあり, 稀ではあるが重篤な合併症が起こり得る. 慈恵医大附属病院では, 脳血管内治療中に出血性合併症などが生じて開頭手術が必要となった場合でも, 患者が移動することなくそのまま開頭手術に移行できるendovascular ORを設置し, 迅速な対応を可能として治療の安全性を高めている. また, 患者が脳血管内治療の安全性に対して過度の期待を抱かないよう, 正確で丁寧な説明も必要である.
ISSN:0375-9172