19. ラット延髄孤束核における局所神経回路の空間的差異
目的:循環呼吸器系や消化器系の内臓知覚情報をモニターしている一次求心性感覚線維由来の入力は, 延髄孤束核尾側部(cNTS)内の局所回路により統合される. 内臓知覚情報処理機構を理解するためには, cNTS内局所回路の機能的, 形態的な興奮性と抑制性シナプス結合様式の解明が重要である. 本研究は, cNTS内における局所シナプス結合様式を解明するために, 電気生理学的シナプス活動と幾何学的パラメーター(ニューロン形態の定量化とその相互関係)の定量的解析を行った. 方法:機能的シナプス結合構成を調べるため, ラット冠状断延髄スライス(250μm)を用い, 孤束刺激によって生じる誘起性シナプス後電流...
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Veröffentlicht in: | 東京慈恵会医科大学雑誌 2008, Vol.123 (6), p.311-311 |
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Hauptverfasser: | , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 目的:循環呼吸器系や消化器系の内臓知覚情報をモニターしている一次求心性感覚線維由来の入力は, 延髄孤束核尾側部(cNTS)内の局所回路により統合される. 内臓知覚情報処理機構を理解するためには, cNTS内局所回路の機能的, 形態的な興奮性と抑制性シナプス結合様式の解明が重要である. 本研究は, cNTS内における局所シナプス結合様式を解明するために, 電気生理学的シナプス活動と幾何学的パラメーター(ニューロン形態の定量化とその相互関係)の定量的解析を行った. 方法:機能的シナプス結合構成を調べるため, ラット冠状断延髄スライス(250μm)を用い, 孤束刺激によって生じる誘起性シナプス後電流と自発性シナプス後電流をホールセルパッチクランプ法により記録した. 興奮性および抑制性シナプス後電流はそれぞれ-70mVおよび0mVに電位固定して記録した. 機能的シナプスの基盤となる幾何学的シナプス結合様式を調べるために, 細胞内染色によりに再構築した軸索と樹状突起について解析した. また, cNTS内のグルタミン酸性およびGABA性細胞の分布を調べるために, in situ hybridization法を行い, 発色強度を定量した. 結果:(1)孤束刺激によって惹起される約200~1,000msにわたって持続的に増強する興奮性あるいは抑制性シナプス後電流は, 両者ともnon-NMDA受容体拮抗薬であるCNQXで阻害された. (2)腹側部よりも背側部でより優位な興奮性シナプス活動が観察された. (3)cNTS内に出力するシナプス結合は, 小型細胞によって主に供給される可能性が高かった. (4)背側部において興奮性小型細胞が占める割合が高かった. 結論:背側部では, 興奮性シナプス出力を担うグルタミン酸性小型細胞群がコアとなる局所神経回路が存在し, 一方, 腹側部では, グルタミン酸性小型細胞群に加えGABA性小型細胞群が含まれた局所回路が存在することが示された. このように, cNTSにおける局所神経回路の空間的差異が明らかとなった. |
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ISSN: | 0375-9172 |