2. 当科における続発性気胸治療
続発性気胸は閉塞性肺疾患(COPD), 間質性肺炎, 肺嚢胞症, 肺癌および感染症など, 様々な肺疾患に合併して発症する気胸である. 中でも最も多く遭遇するCOPDの中程度~高度例に合併した続発性気胸を例とすると, その死亡率は15%, 2年以内の再発率が40-50%と高率であるとされ, 治療に難渋する事が多い. 続発性気胸と診断されれば, まずチューブによる胸腔ドレナージの上, 気漏部位の自然閉鎖を待つ. 気漏持続例ではベッドサイドでの癒着療法(欧米ではタルクが一般的)など, 様々な保存的治療が推奨されてきた. 一方, 1990年代以降, 胸部外科手術に広く応用されるようになった胸腔鏡手術に...
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Veröffentlicht in: | 東京慈恵会医科大学雑誌 2008, Vol.123 (6), p.301-302 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 続発性気胸は閉塞性肺疾患(COPD), 間質性肺炎, 肺嚢胞症, 肺癌および感染症など, 様々な肺疾患に合併して発症する気胸である. 中でも最も多く遭遇するCOPDの中程度~高度例に合併した続発性気胸を例とすると, その死亡率は15%, 2年以内の再発率が40-50%と高率であるとされ, 治療に難渋する事が多い. 続発性気胸と診断されれば, まずチューブによる胸腔ドレナージの上, 気漏部位の自然閉鎖を待つ. 気漏持続例ではベッドサイドでの癒着療法(欧米ではタルクが一般的)など, 様々な保存的治療が推奨されてきた. 一方, 1990年代以降, 胸部外科手術に広く応用されるようになった胸腔鏡手術により, これら難治性続発性気胸においても術後呼吸機能を大きく損なうことなく, 直視下の気漏閉鎖が可能となり, また周術期管理も飛躍的に改善した. 当科でも60歳以上に限ると, 05年7月以降3年間で経験した26例の続発性気胸中21例に胸腔鏡下手術が施行されている. それ以前の10年間に手術施行されたのべ15例中12例が開胸術であった事と比較すると, 胸腔鏡手術導入により当科でも続発性気胸の治療方針が変化しつつあることがわかる. 気漏部閉鎖方法としては, 通常の気胸に対するような自動縫合器による気漏部切除が主体となるが, それだけでは対応がしばしば困難であることも重症肺疾患例の問題である. そのような際, 我々は嚢胞縫縮術, ループ結紮法など既存の方法以外にカッターレス自動縫合器の応用, PGA(polyglycolic acid)シートとフィブリン糊による嚢胞を被覆, GRF(Gelatin Resorcinol Formaldehyde)glueの瘻孔化した気瘻部への注入など様々な工夫を試みている. 最近経験した続発性気胸のうち, 特に術前呼吸機能不全が重度であった, または気漏閉鎖に工夫が必要であった5人を例に, 当科におけるその手術適応基準および術式の選択の実際を供覧する. |
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ISSN: | 0375-9172 |