慢性播種性血管内凝固症候群を合併した上行弓部大動脈瘤の1手術例

「I. 緒言」大動脈瘤に伴う慢性の播種性血管内凝固症候群(DIC:disseminated intravasucular coagulation syndrome)は, 胸部, 腹部の大動脈瘤の約5.7%に合併するといわれているが1), 著明な出血傾向を呈し, DICをコントロールするために手術を余儀なくされる症例は稀である. DICを合併した胸部大動脈瘤症例に対する手術では, DICによる出血傾向に加え, 人工心肺による血小板/凝固因子の消費とヘパリンの使用で致命的な出血合併症を引き起こす危険が高い. 今回, われわれは著明な出血傾向を呈したDIC合併の胸部大動脈瘤に対し, 術前に抗凝固療法...

Ausführliche Beschreibung

Gespeichert in:
Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:東京慈恵会医科大学雑誌 2008-07, Vol.123 (4), p.211-215
Hauptverfasser: 配島功成, 川人宏次, 阿部貴行, 花井信, 田口真吾, 橋本和弘
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
Tags: Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
Beschreibung
Zusammenfassung:「I. 緒言」大動脈瘤に伴う慢性の播種性血管内凝固症候群(DIC:disseminated intravasucular coagulation syndrome)は, 胸部, 腹部の大動脈瘤の約5.7%に合併するといわれているが1), 著明な出血傾向を呈し, DICをコントロールするために手術を余儀なくされる症例は稀である. DICを合併した胸部大動脈瘤症例に対する手術では, DICによる出血傾向に加え, 人工心肺による血小板/凝固因子の消費とヘパリンの使用で致命的な出血合併症を引き起こす危険が高い. 今回, われわれは著明な出血傾向を呈したDIC合併の胸部大動脈瘤に対し, 術前に抗凝固療法/抗線溶療法を行い, 凝固/線溶系を改善させた後, 安全に手術を施行したので報告する. 「II. 症例」症例;82歳, 女性. 主訴;右結膜下出血, 全身皮下出血. 家族歴;特記すべき事項なし. 既往歴;平成10年より, 高血圧で通院.
ISSN:0375-9172