23. 当院におけるその他血液浄化療法施行情況について

血液を体外循環し病因物質を除去する血液浄化療法は, 透析療法としてすでに確立された体外循環技術となっている. 現在では, 拡散・濾過・吸着など様々な物質除去原理を用いた血液浄化療法が開発され適応範囲が拡大されている. 透析以外の各血液浄化療法を「その他血液浄化療法」として, その概要紹介と平成13年度から平成17年度までの過去5年間の「その他血液浄化療法」件数と診療科別の件数を報告する. また, 各種血液浄化法の概略もあわせて説明を加える. 持続的血液浄化法とは, 救命救急・集中治療領域において, 「急性腎不全」や「多臓器不全」を呈する患者を対象に行なわれる血液浄化療法である. 直接血液灌流法...

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Veröffentlicht in:東京慈恵会医科大学雑誌 2008, Vol.123 (1), p.59-60
Hauptverfasser: 亜厂耕介, 荒井裕子, 佐々木雄一, 菅原洋一, 天童大介, 角田裕志, 平塚明倫, 仁田坂謙一, 川村哲也
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:血液を体外循環し病因物質を除去する血液浄化療法は, 透析療法としてすでに確立された体外循環技術となっている. 現在では, 拡散・濾過・吸着など様々な物質除去原理を用いた血液浄化療法が開発され適応範囲が拡大されている. 透析以外の各血液浄化療法を「その他血液浄化療法」として, その概要紹介と平成13年度から平成17年度までの過去5年間の「その他血液浄化療法」件数と診療科別の件数を報告する. また, 各種血液浄化法の概略もあわせて説明を加える. 持続的血液浄化法とは, 救命救急・集中治療領域において, 「急性腎不全」や「多臓器不全」を呈する患者を対象に行なわれる血液浄化療法である. 直接血液灌流法の1つである, エンドトキシン吸着療法とは血中のエンドトキシンを除去することにより「敗血症」の病態を改善させることを目的とした治療法である. さらに顆粒球吸着療法とは, 主に「潰瘍性大腸炎」活動期病態の緩解を促進, 症状を改善させることを目的とした治療方法. 単純血漿交換療法とは, 血漿分離器により全血を血球と血漿に分離し分離された血漿を全破棄し, 相当量の置換液を補充する方法. 2重膜濾過血漿交換療法とは, 血漿分離器により分離された血漿を血漿成分分離器に通過させ, 病因関連物質と有用物質を篩い分け有用物質を置換液とともに体内へ戻す治療方法. 血漿吸着療法とは, 血漿分離器で分離した血漿を血漿吸着器で, 目的とした病因物質を特異的・選択的に血漿中から吸着除去する治療方法. 胸水・腹水濾過濃縮再静注法は, 「難治性腹水症」患者の腹水を採取し, それを膜分離・濾過および濃縮して血漿様蛋白濃度に調整した後, 患者の静脈に再注入する治療方法. 各疾患に対し, 血液浄化療法も多様であり治療目的に応じた血液浄化療法の選択が重要である. これら血液浄化療法を十分に理解し実施することで, 目的に応じた治療効果を最大限に発揮することが可能となりえる.
ISSN:0375-9172