11. 良性対称性脂肪腫症(Madelung's disease)の3例

目的:良性対称性脂肪腫症(benign symmetrical lipomatosis, 以下BSL)は, 頚部, 肩, 躯幹, 四肢の皮下などに対称性, 多発性に脂肪腫が発生する疾患である. とくに頚部に発生した良性対称性脂肪腫症はMadelung's diseaseと呼ばれている. Madelung's diseaseの3例を経験したので報告する. 方法と結果:過去30年間に手術を行った頚部の良性対称性脂肪腫症は3例であった. 症例1. 64歳, 男性. 3~4年前から徐々に頚部の腫瘍の増大をみたため, 切除目的に来院した. 2005年2月全身麻酔下で一期的に切除を行っ...

Ausführliche Beschreibung

Gespeichert in:
Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:東京慈恵会医科大学雑誌 2008, Vol.123 (1), p.55-55
Hauptverfasser: 二ノ宮邦稔, 林淳也, 勝畑知之, 中島彰子, 西田雅史
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
Tags: Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
Beschreibung
Zusammenfassung:目的:良性対称性脂肪腫症(benign symmetrical lipomatosis, 以下BSL)は, 頚部, 肩, 躯幹, 四肢の皮下などに対称性, 多発性に脂肪腫が発生する疾患である. とくに頚部に発生した良性対称性脂肪腫症はMadelung's diseaseと呼ばれている. Madelung's diseaseの3例を経験したので報告する. 方法と結果:過去30年間に手術を行った頚部の良性対称性脂肪腫症は3例であった. 症例1. 64歳, 男性. 3~4年前から徐々に頚部の腫瘍の増大をみたため, 切除目的に来院した. 2005年2月全身麻酔下で一期的に切除を行った. 切除した腫瘍の重量は, 330gであった. 症例2. 66歳, 男性. 数年前から頚部に全周性の腫瘍があり, 徐々に増大したため切除目的に来院した. 2004年8月(後頚部), 2005年1月(右前頚部), 2005年10月(左前頚部)の3回に分けて手術を行った. 考察:良性対称性脂肪腫症は, これまで欧米を中心に200例余りが報告されている. しかし, 本邦では形成外科領域で散見される程度である. 脂肪腫の発育は緩徐で自覚症状に乏しいため外観上の主訴がほとんどである. しかし, 深在性に発育した例では呼吸困難, 上大動脈症候群などの症状もみられる. 治療は, 内科的には代謝異常説と関連しβ2アドレナリン作動薬の内服の効果があったとする報告があるが, 外科的切除が基本であると考える. 手術法は, 脂肪吸引, 外科的切除法などがある. 手術法や合併症などについて文献的考察を加え報告する.
ISSN:0375-9172