27. 災害時の地下水膜濾過システムの活用について

地下水利用による上水道の供給は, 当初相病院の実績を受けて検討を開始した. そのなかで, 実際には次の4つの効果が期待できることが分かった. 1)経済効果(年間約2,000万円の上水道経費が削減できる) 設備投資回収経費を除いても年間約2,000万円の経費削減が図れている. 2)地球環境規模での水資源の自然循環が保たれる. 地球上の水資源は14億km3であるが, うち淡水は2.5％しかなく, さらに表流水(河川, 湖沼)は0.01％にすぎない. 地下水は0.73％ありその重要性が理解できる. 膜濾過システムにより, 0.1ミクロンの微細物も濾過でき, 東京都の水質検査50項目を完全クリアーした, 安全な水を供給している. 3)災害時に病院・近隣住民へのライフライン(水資源)の供給が可能になる. 震度7の耐震設計(クラスS)であり, 非常電源対応にもなっており病院内はもちろん, 地域住民へも水の供給が可能となる. ちなみに, 1時間に17トンの供給能力がある. 現在狛江市, 調布市と供給システムの協働体制を協議している. 4)地球温暖化対策(CO2削減)に効果がある. 地下水は常時摂氏18度であり, 空調機の冷温水器の負荷が軽減され, 燃料消費が削減されることから, CO2の削減に繋がるものである.