12. ラット延髄孤束核のシナプス発達と圧受容器反射の獲得
目的:圧受容器反射は血圧の恒常性の維持に不可欠な反射であり, その中枢は延髄の背内側部に位置する尾側部孤束核(cNTS)である. 我々は先行研究において, ラットcNTSでは, 出生直後から生後2週齢にかけてシナプスに形態変化が生じること, さらに幼若型から成熟型へのシナプス形態変化を生じるためには生後5日齢から8日齢までの神経活動が重要であることを明らかにした. しかし, cNTSのシナプス形態変化の生理的意義は未解明である. そこで, 本研究では, cNTSにおけるシナプス形態の発達により圧受容器反射が獲得されることの証明を目的とした. 方法:生後5日齢のラットにNMDA受容体アンタゴニス...
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Veröffentlicht in: | 東京慈恵会医科大学雑誌 2007, Vol.122 (6), p.242-242 |
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Hauptverfasser: | , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 目的:圧受容器反射は血圧の恒常性の維持に不可欠な反射であり, その中枢は延髄の背内側部に位置する尾側部孤束核(cNTS)である. 我々は先行研究において, ラットcNTSでは, 出生直後から生後2週齢にかけてシナプスに形態変化が生じること, さらに幼若型から成熟型へのシナプス形態変化を生じるためには生後5日齢から8日齢までの神経活動が重要であることを明らかにした. しかし, cNTSのシナプス形態変化の生理的意義は未解明である. そこで, 本研究では, cNTSにおけるシナプス形態の発達により圧受容器反射が獲得されることの証明を目的とした. 方法:生後5日齢のラットにNMDA受容体アンタゴニストであるMK-801を3日間腹腔内投与し, 神経活動を一時的に薬理阻害した. この操作によりcNTSは成獣になっても幼若型の神経回路が保持される. 生後5-8週齢において血圧, 心拍数の測定を実施し, 圧受容器反射を評価した. 血圧は大腿動脈にセンサーに連結させた管を挿入し, 直接計測した. 大腿静脈から血管収縮剤のPhenylephrineを投与し, 一過的に血圧を上昇させ血圧や心拍数の変化を記録した. また, MK-801を投与した個体のcNTSの形態を免疫染色および電子顕微鏡観察を用いてシナプス形態を観察した. 結果:正常ラット群においてはPhenylephrineによる一過的な血圧上昇の後, すみやかなベースラインへの復帰が観察されたのに対し, MK-801を投与された個体群においては, 一過的な血圧上昇に対する反応に一貫性がなく, 復帰するまでにより長い時間を要した. また, MK-801を投与された個体群のcNTSは幼若型のシナプス形態を有していた. 結論:幼若型のシナプス形態を有する個体群では圧受容器反射の調節能が低下していたことから, cNTSのシナプス形態の発達により圧受容器反射が獲得されると考えられる. |
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ISSN: | 0375-9172 |