B4. 生理学検査データを中心とした種々の動脈硬化関連危険因子について-脳ドック健診データによる検討

目的:昨年度から運用を開始した脳ドック健診で得られたデータを用いて, 電気生理学的検査および頸部超音波検査, 血液生化学検査データを用いて, 脳血管障害および動脈硬化関連危険因子についての検討を加えたので報告する. 対象・方法:当院の脳ドック健診者329例(平成18年4月~19年4月, 29~88歳, 平均年齢66.4±10.0歳, 男177例, 女152例)を対象に, 動脈硬化に対する形態変化として頸動脈エコー, 動脈壁硬化度測定として大動脈脈波速度, その他, 血圧測定, 心電図検査, 血液脂質関連検査(血糖, HgA1c, TG, HDL, LDL)を行い, 各種計測データを基に脳ドック...

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Veröffentlicht in:東京慈恵会医科大学雑誌 2007, Vol.122 (4), p.172-173
Hauptverfasser: 中里麻理, 布施あゆみ, 藤井圭子, 井出真紀子, 原美砂子, 酒井満子, 鈴木恒夫, 堂満憲一, 正田暢, 吉田博, 村上成之
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:目的:昨年度から運用を開始した脳ドック健診で得られたデータを用いて, 電気生理学的検査および頸部超音波検査, 血液生化学検査データを用いて, 脳血管障害および動脈硬化関連危険因子についての検討を加えたので報告する. 対象・方法:当院の脳ドック健診者329例(平成18年4月~19年4月, 29~88歳, 平均年齢66.4±10.0歳, 男177例, 女152例)を対象に, 動脈硬化に対する形態変化として頸動脈エコー, 動脈壁硬化度測定として大動脈脈波速度, その他, 血圧測定, 心電図検査, 血液脂質関連検査(血糖, HgA1c, TG, HDL, LDL)を行い, 各種計測データを基に脳ドック健診結果から見た動脈硬化関連因子に対する各指標に着目し, MRI診断結果を交えた比較検討を行った. 成績:脳ドック健診結果から, MRI異常所見は, 50歳以降全体の31%に認められ, 高齢化に伴い有症率は上昇していた. 以下に多群間比較において有意差が得られた項目について報告する. 1)心電図上虚血所見が認められた症例は, 総頸動脈内中膜複合体IMTが厚い. 2)高血糖群では, 大動脈脈波速度PWVが高い. 3)頸動脈プラーク数が多いほど, PWV, IMTなどが高い. 4)MRIにて脳梗塞が疑われた症例では, 収縮期血圧SBP, 拡張期血圧DBP, PWVが高く, その他の異常所見を含めたMRI異常群では, IMTも有意に高かった. 6)生理検査結果および血清脂質関連検査データでの動脈硬化危険因子の重複が多いほど, 健診結果における脳疾患の有症率が高かった. 総括:脳ドック健診は症状のない方を対象として脳や脳血管, その他危険因子について検査を行い, その発症や進行を防止することが重要であるが, 今回の検討では脳ドック健診者数の31%に脳疾患の存在が疑われた. 検査診断上, 頸動脈エコー検査は, 動脈硬化の程度を直接観察することが可能であり, 得られた値から脳血管障害の発生状況の間に良好な有意差が得られた. その他, 電気生理学的検査および脂質関連血液検査などを実施することにより, 脳ドック診断精度の向上が図れ, 生理学的検査は脳血管障害および動脈硬化のスクリーニング検査として有用であることが立証された.
ISSN:0375-9172