A4. 膝窩部に発生した顆粒細胞腫の1例

顆粒細胞腫は細胞質に顆粒を持つ大型の細胞からなる稀な良性腫瘍で, シュワン細胞由来が考えられている. 全身の臓器および組織に発生するが, 軟部腫瘍における発生頻度は0.5%である. 今回われわれは膝窩部に発生した巨大な顆粒細胞腫の1例を経験したので文献的考察を加え報告する. 症例:54歳, 女性 経過:平成10年ごろより右膝窩部に腫瘤を自覚するが放置していた. その後徐々に増大し, 正座をするときなどに違和感を感じるため近医受診後, 当院紹介となった. 初診時右大腿後面に直径8cmの硬い腫瘤を触知し, 自発痛, 圧痛は認めなかった. 初診時単純Xpにて軟部に腫瘤陰影を認め, 石灰化は認めなかっ...

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Veröffentlicht in:東京慈恵会医科大学雑誌 2007, Vol.122 (4), p.169-169
Hauptverfasser: 植田純子, 増井文昭, 茶薗昌明, 川口泰彦, 間浩通, 伊藤吉賢, 斉藤滋, 笠間憲太郎, 高野勇人, 橋本蔵人, 丸毛啓史
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:顆粒細胞腫は細胞質に顆粒を持つ大型の細胞からなる稀な良性腫瘍で, シュワン細胞由来が考えられている. 全身の臓器および組織に発生するが, 軟部腫瘍における発生頻度は0.5%である. 今回われわれは膝窩部に発生した巨大な顆粒細胞腫の1例を経験したので文献的考察を加え報告する. 症例:54歳, 女性 経過:平成10年ごろより右膝窩部に腫瘤を自覚するが放置していた. その後徐々に増大し, 正座をするときなどに違和感を感じるため近医受診後, 当院紹介となった. 初診時右大腿後面に直径8cmの硬い腫瘤を触知し, 自発痛, 圧痛は認めなかった. 初診時単純Xpにて軟部に腫瘤陰影を認め, 石灰化は認めなかった. MRIでは皮下にT1強調像にて骨格筋と同等の信号, T2強調像にて不均一な高信号を示す腫瘤を認めた. 以上より悪性腫瘍, デスモイド腫瘍を疑い平成18年11月13日, 生検術を施行した. 病理組織学的には好酸性の顆粒状胞体組胞のびまん性増生をみとめ, また線維性結合織の増加とリンパ濾胞形成を認めた. 組織学的には筋膜下への浸潤は認めなかった. 以上より顆粒細胞腫と診断し, 平成19年2月6日広汎切除術を施行した. 腫瘍は皮下, 一部薄筋内に存在し, 皮膚への浸潤を認めたため合併切除した. また深部のハムストリング筋膜との境界は肉眼的に不明瞭であったため, 筋膜と筋層を一部合併切除した. 考察:膝窩部に発生した稀な巨大顆粒細胞腫の1例を経験したので報告した. 本腫瘍に対する根治的治療は文献的には広汎切除が望ましいとされているが, 近年神経血管束に隣接し, 十分な切除縁が確保できない場合には辺縁切除であっても再発はなかったとする報告が散見される. 今回inadequate margin(<1cm)で切除を行ったが, 本腫瘍が良性であることを考えると適切な切除縁については更なる議論が必要と考える.
ISSN:0375-9172