B12.耳下腺に発生した腺房細胞癌の細胞像
緒言:腺房細胞癌は, 全唾液腺腫瘍の約3%という稀な腫瘍である. その細胞形態は, 異型に乏しく, 正常の腺房細胞に類似した所見を呈するため, その診断に苦慮することが多い. 今回我々は, 耳下腺の腺房細胞癌を経験したので, その細胞像について報告する. 症例1:63歳, 男性. 右耳下腺部に約15mm大の腫瘍を認め, 穿刺吸引細胞診にて, ClassIII. 腫瘍摘出術が施行された. 症例2:65歳, 男性. 左耳下腺部に約25mm大の腫瘍を認めた. 穿刺吸引細胞診にて, 多形腺腫あるいは上皮性腫瘍が疑われ, 腫瘍摘出術が施行された. 細胞像:症例1,2とも細胞量が多く, 毛細血管を軸に樹枝...
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Veröffentlicht in: | 東京慈恵会医科大学雑誌 2007, Vol.122 (2), p.91-91 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 緒言:腺房細胞癌は, 全唾液腺腫瘍の約3%という稀な腫瘍である. その細胞形態は, 異型に乏しく, 正常の腺房細胞に類似した所見を呈するため, その診断に苦慮することが多い. 今回我々は, 耳下腺の腺房細胞癌を経験したので, その細胞像について報告する. 症例1:63歳, 男性. 右耳下腺部に約15mm大の腫瘍を認め, 穿刺吸引細胞診にて, ClassIII. 腫瘍摘出術が施行された. 症例2:65歳, 男性. 左耳下腺部に約25mm大の腫瘍を認めた. 穿刺吸引細胞診にて, 多形腺腫あるいは上皮性腫瘍が疑われ, 腫瘍摘出術が施行された. 細胞像:症例1,2とも細胞量が多く, 毛細血管を軸に樹枝状配列をした腫瘍細胞を認めた. 腫瘍細胞は, 豊富な胞体を有しライトグリーン淡染性で, 一部に空胞を認めた. 核は円から類円形で, 小型の核小体を有していた. その他の所見として, 症例1では核内封入体を認め, 症例2では2核細胞や, ヘモジデリン貪食細胞を認めた. 組織像:症例1. 薄い腺維性被膜によって被包化された腫瘍で, 毛細血管を軸に索状配列した腫瘍細胞は, 胞体は好塩基性で広く, 核は円から類円形, 小型核小体を有し, 一部で核内封入体を認め, 充実型の腺房細胞癌と診断された. 症例2. 薄い腺維性被膜によって被包化された腫瘍で, 腫瘍細胞が毛細血管を軸に小腺腔から濾胞状を呈していた. 腫瘍細胞は異型に乏しく, 細胞質に空胞が見られた. 濾胞型の腺房細胞癌と診断された. 考察:腺房細胞癌は, 細胞異型に乏しいものの, 多彩な組織像や細胞像を呈している. 今回我々は経験した腺房細胞癌の細胞像を検討するとともに, 鑑別を有する疾患の細胞像と比較検討して報告する. |
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ISSN: | 0375-9172 |