C5. 神経損傷における血清S-100蛋白, NSEの検討
目的:頭部外傷, 脳梗塞などの神経損傷後, 急性期の血清S-100, NSEが神経学的重症度の指標, 転帰に関する予測因子となりうるかを検討し, 病態を解析することを目的とした. 対象と方法:受傷後6時間以内に救急搬送された頭部外傷36症例, 脳梗塞7例を対象とした. 血清S-100, NSEを来院時, 受傷翌日の2回測定をおこない, 来院時GCS, 頭部CTによる臨床診断, 転帰との関係を解析した. 結果:S-100, NSEともに来院時GCSと有意な相関がみられた. 脳挫傷, 急性硬膜外血腫, 脳震盪, びまん性軸索損傷では, 来院時S-100, NSEともに正常値よりも上昇していたが,...
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Veröffentlicht in: | 東京慈恵会医科大学雑誌 2005, Vol.120 (5), p.199-200 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 目的:頭部外傷, 脳梗塞などの神経損傷後, 急性期の血清S-100, NSEが神経学的重症度の指標, 転帰に関する予測因子となりうるかを検討し, 病態を解析することを目的とした. 対象と方法:受傷後6時間以内に救急搬送された頭部外傷36症例, 脳梗塞7例を対象とした. 血清S-100, NSEを来院時, 受傷翌日の2回測定をおこない, 来院時GCS, 頭部CTによる臨床診断, 転帰との関係を解析した. 結果:S-100, NSEともに来院時GCSと有意な相関がみられた. 脳挫傷, 急性硬膜外血腫, 脳震盪, びまん性軸索損傷では, 来院時S-100, NSEともに正常値よりも上昇していたが, 翌日には下降した. 急性硬膜下血腫の転帰良好群では神経損傷マーカーの上昇後に正常域への下降がみられたのに対し, 転帰不良群ではマーカーの二次的上昇がみられた. 二次的上昇を示した症例では, 上昇しなかった症例に比較して, 来院時Secondary Insult合併の頻度が有意に高かった. 来院時S-100, NSEと転帰を比較, 検討したところ, 転帰不良例で有意に高値を示した. 神経損傷マーカーが二次的上昇を示した群では, 有意に転帰不良であった. また, アテローム血栓症, ラクナ梗塞では, 血清S-100蛋白, NSEは軽度上昇を示し, 中大脳動脈塞栓症では正常値の2-3倍の上昇が認められた. 血清S-100蛋白, NSEは, 頭部外傷では受傷6-24時間でピークに達し, 以後低下するのに対し, 脳梗塞では, 入院時に比較し, 第2または3病日で上昇していた. 結論:S-100, NSEはGCSと相関を示すことより, 神経損傷による重症度を反映し, また, 転帰の予測因子となりうる. とくに画像上の重症度の評価が困難なびまん性脳損傷の病態の評価に有用である. S-100, NSEが, 二次的上昇を示す症例では, Secondary Insultが関与し, 転帰不良であった. |
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ISSN: | 0375-9172 |