C3. 縦隔気腫・皮下気腫・後腹膜気腫・胸膜椎硬膜外気腫をきたした神経因性食思不振症の15歳女性例
症例は15歳女性. 2004年8月頃から食欲低下を訴えるようになり, 10月に神経因性食思不振症と診断された. 2005年5月2日,嘔吐と胸痛呼吸苦を主訴に来院. 身長160.5cm, 体重37.0kgでBMIは14.4と著明なるいそうが見られた. 広範な皮下気腫を認め, CT検査にて縦隔, 後腹膜, 胸腰椎体部の硬膜外気腫が存在した. 血液検査ではPaCO2が52.8mmHgと軽度の貯留を示した. 栄養状態はヘモグロビンが14.0g/dl, 総蛋白が8.3g/dl, アルブミンが5.6g/dl, 総コレステロールが239mg/dlであった. 脱水が示唆されたが, 明らかな低栄養とは言えなかっ...
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Veröffentlicht in: | 東京慈恵会医科大学雑誌 2005, Vol.120 (5), p.199-199 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 症例は15歳女性. 2004年8月頃から食欲低下を訴えるようになり, 10月に神経因性食思不振症と診断された. 2005年5月2日,嘔吐と胸痛呼吸苦を主訴に来院. 身長160.5cm, 体重37.0kgでBMIは14.4と著明なるいそうが見られた. 広範な皮下気腫を認め, CT検査にて縦隔, 後腹膜, 胸腰椎体部の硬膜外気腫が存在した. 血液検査ではPaCO2が52.8mmHgと軽度の貯留を示した. 栄養状態はヘモグロビンが14.0g/dl, 総蛋白が8.3g/dl, アルブミンが5.6g/dl, 総コレステロールが239mg/dlであった. 脱水が示唆されたが, 明らかな低栄養とは言えなかった. ガストログラフィンを用いた上部消化管造影では明らかな穿孔部位などは認められなかった. 入院後は経過観察のみで次第に気腫は減少し, 自覚症状も改善していった. 神経因性食思不振症の合併症として, 皮下気腫はよく知られている. しかし縦隔気腫は稀ではあるが本邦で数例の報告がある. 低栄養に伴う組織の脆弱性を原因として, 咳などをきっかけに気管から縦隔および頸部に空気が漏れることがあるとされる. 本例では嘔吐を契機として空気が縦隔内に進入し, 後腹膜や硬膜外に進展したと考えられた. なお, 硬膜外気腫の存在を認めたのは本例が最初と考えられる. 食道穿孔などに伴う縦隔気腫は, 難治性の感染を伴い予後不良であるが, 神経因性食思不振症に伴う縦隔気腫の場合, 侵襲的な治療を必要とせず予後は良好であるので, このような合併症の存在を認識しておくことが重要であると思われる. |
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ISSN: | 0375-9172 |