2. 青戸病院における造影剤副作用の現況報告

目的:造影CTにおけるヨード系造影剤の副作用発現頻度および造影検査における安全管理について検討する. 対象と方法:'02年7月から'04年11月の期間に33,410件のCT検査が施行され, その中で造影剤が使用された6,022件(18.0%)が対象である. '03年8月から造影剤の同意書が導入され, その前後で造影率に変化(前;3,302/15,363=21.5%, 後:2,720/18,047=15.1%)があったため2期に分けて検討した. 造影剤は6種(370mgI/ml:A社, 300mgI/ml:A社, B社, C社, D社, 320mgI/ml:E社)が...

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Veröffentlicht in:東京慈恵会医科大学雑誌 2005, Vol.120 (3), p.122-122
Hauptverfasser: 畑雄一, 長瀬雅則, 本田力, 冨田宗貴, 藤田正紀, 松原馨, 山口雅崇, 山川仁憲, 熊谷史範, 成沢亮祐, 白石かをり, 市元愛, 斉藤順子, 相澤由香里, 中村昌子, 佐藤瑠津子, 坂田裕子
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:目的:造影CTにおけるヨード系造影剤の副作用発現頻度および造影検査における安全管理について検討する. 対象と方法:'02年7月から'04年11月の期間に33,410件のCT検査が施行され, その中で造影剤が使用された6,022件(18.0%)が対象である. '03年8月から造影剤の同意書が導入され, その前後で造影率に変化(前;3,302/15,363=21.5%, 後:2,720/18,047=15.1%)があったため2期に分けて検討した. 造影剤は6種(370mgI/ml:A社, 300mgI/ml:A社, B社, C社, D社, 320mgI/ml:E社)が使用された. 検査に際しては依頼医師による造影剤副作用握などのリスクファクターについての記載, 同意書('03年8月以後)を確認後に, 放射線科医師がリスクファクター, 造影剤の適応を再度チェックし造影剤を投与した. 造影剤の副作用には即時型, 遅延型の2種があり, 遅延型についてはアンケート調査などが必要であるため, 今回は即時型副作用に関して検討を行った. 結果:全期間において, 副作用は58例(0.96%)に発現した. 入院を必要とした重症例は1例, 薬剤の投与を行った中等症例は7例, 残りの50例は経過観察のみで軽快した軽症例であった. 同意書導入前には副作用の発現率は1.18%(39/3.302)であったのに対して, 導入後には0.70%(19/2.720)に低下した. ただし'03年5月に中間集計を行い, D社の薬剤(300mgI/ml)における副作用率が他社薬剤より高かったため, 以後は使用を原則的に中止した. 本剤を除いた副作用率は全期間で0.78%, 同意書導入前で0.92%, 導入後で0.63%であった. 考察:ヨード系造影剤静脈内投与による副作用の発現率は一般に3-5%と言われている. これと比較し青戸病院の造影CTにおける成績は非常に優れているといえる. とくに注目すべきは同意書の導入によって発現率が低下したことである. 同意書は必ずしも副作用の軽減化を直接の目的としたものではないが, 薬剤の選択, リスクファクターや造影剤適応のチェックなど安全管理の徹底化に加えて, 被検者へのインフォームドコンセントが大きな効果を示していることは興味深い結果といえる.
ISSN:0375-9172