56. 黄色ブドウ球菌感染による血管内皮細胞のケモカイン発現変化
目的:IL-8, MCP-1は, 血管内皮細胞で発現しているケモカインであり, 白血球の遊走に重要である. これらの発現が, 黄色ブドウ球菌の感染によりどのように変化するのか, アトピー株と常在株を用いて検討した. 方法:黄色ブドウ球菌は, アトピー患部より分離した菌株(A151, A17), 健常者の鼻腔内より分離した常在株(00-62, 00-51)を使用した. 各菌株は, Brain Heart Infusion(BHI)で対数増殖期まで培養し, 生理食塩水で洗浄後, 菌濃度を調整し実験に用いた. ヒト血管内皮細胞(HUVEC)は, ゼラチンコートした35mmディッシュで培養後, 黄色ブ...
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Veröffentlicht in: | 東京慈恵会医科大学雑誌 2004, Vol.119 (6), p.406-407 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 目的:IL-8, MCP-1は, 血管内皮細胞で発現しているケモカインであり, 白血球の遊走に重要である. これらの発現が, 黄色ブドウ球菌の感染によりどのように変化するのか, アトピー株と常在株を用いて検討した. 方法:黄色ブドウ球菌は, アトピー患部より分離した菌株(A151, A17), 健常者の鼻腔内より分離した常在株(00-62, 00-51)を使用した. 各菌株は, Brain Heart Infusion(BHI)で対数増殖期まで培養し, 生理食塩水で洗浄後, 菌濃度を調整し実験に用いた. ヒト血管内皮細胞(HUVEC)は, ゼラチンコートした35mmディッシュで培養後, 黄色ブドウ球菌(2.5×106CFU)を添加し(moi10), 37℃, 5%CO2で1時間静置した. 細胞外の菌を溶菌するためlysostaphin添加培養液に換え30分処理しメタノール固定ギムザ染色を行い, 顕微鏡下で細胞への取りこみ菌数をカウントした. 同様にlysostaphin添加培養液で3時間培養後, 細胞からtotal RNAを抽出し, RT-PCRによりIL-8, MCP-1, β-actinの発現を調べた. 結果:細胞当たりの取りこみ菌数は, アトピー株のA151, A17でそれぞれ0.93±1.4,3.72±4.03であり, 常在株の00-62, 00-51では, 2.48±3,3.62±4.16であった. RT-PCRによるIL-8, MCP-1の発現は非感染時と比べ常在株(00-62, 00-51)の感染では変わらなかったが, アトピー株(A151, A17)では抑制されていた. 結論:今回の結果から, 血管内皮細胞におけるIL-8, MCP-1の発現は, 常在株の感染では変化がないのに対しアトピー株で抑制されることが示された. またこの現象は細胞内への取りこみ菌数との関連性は見られなかった. これらのことから常在株とアトピー株では, 血管内皮細胞に対する作用が異なっており, アトピー株で見られたケモカインの発現抑制作用は, 白血球浸潤の遅延をきたすなど, 生体内における菌の病原性を反映している可能性があると考えられる. |
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ISSN: | 0375-9172 |