43. 潰瘍性大腸炎におけるUrocortin1の発現

背景目的:Urocortin1(Ucn1)は, Corticotropin-releasing factor(CRF)と45%homologyを有する神経ペプチドで, CRF1型(CRF-R1), 2型受容体(CRF-R2)双方へ結合することから, ストレス関連ペプチドとして, 局所や全身での免疫機構の制御を含むその生理作用に注目が集められてきた. 一方, 潰瘍性大腸炎(Ulcerative colitis;UC)は, 大腸粘膜障害に何らかの免疫異常が関与していると考えられており, さらに情緒不安や過敏性腸症候群様の症状をきたす症例が多いことから, 腸管炎症に伴う種々のストレスにより精神的肉体...

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Veröffentlicht in:東京慈恵会医科大学雑誌 2004, Vol.119 (6), p.398-399
Hauptverfasser: 猿田雅之, 高橋和広, 鈴木貴, 河上牧夫, 鳥居明, 戸田剛太郎, 笹野公伸
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:背景目的:Urocortin1(Ucn1)は, Corticotropin-releasing factor(CRF)と45%homologyを有する神経ペプチドで, CRF1型(CRF-R1), 2型受容体(CRF-R2)双方へ結合することから, ストレス関連ペプチドとして, 局所や全身での免疫機構の制御を含むその生理作用に注目が集められてきた. 一方, 潰瘍性大腸炎(Ulcerative colitis;UC)は, 大腸粘膜障害に何らかの免疫異常が関与していると考えられており, さらに情緒不安や過敏性腸症候群様の症状をきたす症例が多いことから, 腸管炎症に伴う種々のストレスにより精神的肉体的異常を引き起こされている可能性も提唱されている. そこで, UCにおけるUcn1の発現を調べ, 腸管炎症とUcn1との関連性について検討した. 方法:UC患者70名(ステロイド非投与群41名, 投与群29名)の大腸内視鏡検査時の生検標本(計354検体)と, 対照として非特異性腸炎26検体と正常腸粘膜31検体を用いて免疫組織科学(Immunohistochemistry;IHC)を施行した. また大腸粘膜固有層の単位面積当たりのUcn1陽性細胞数を計測し, Matts分類による炎症程度との関係について検討した. Ucn1, CRF-R1, R2(a)型の局所の発現は, In situ hybridization(ISH)法を用いて検討し, 連続切片にてIHCを併用し発現細胞同定を行った. さらに手術検体を用い, Ucn1定量をRadio immunoassay(RIA)法にて行った. 結果考察:UC大腸におけるUcn1産生は形質細胞が主体で, enterochromaffin cellにも発現することが判明した. ISHとIHCを用いた連続切片では, CRF-R1, R2(a)型は, 粘膜内の形質細胞とmacrophageに発現しており, Ucn1陽性細胞とCRF受容体陽性細胞は同一細胞か, 極めて近接していることが判明し, Ucn1がautocrine/paracrine的に作用している可能性が示唆された. また, Ucn1はステロイド非投与群では, 炎症程度に比例して有意に増加していたが(p
ISSN:0375-9172