4. 一期的骨盤内リンパ管静脈吻合
目的:子宮体癌の骨盤内リンパ節郭清後の下肢リンパ浮腫の予防として, 一期的な骨盤内リンパ管静脈吻合治療を本学倫理委員会の決議を経て開始した. 今回はその術式と早期結果について報告する. 対象:子宮, 卵巣全摘, 骨盤内リンパ節郭清術を行う子宮体癌患者に本手術を施行した. 方法:骨盤内リンパ節郭清術を行い, 後腹膜閉鎖前の状態で本手術を行う. 外腸骨動静脈の周囲で外腸骨リンパ節の輸入リンパ管である, 深鼠径リンパからのリンパ管の断端を確認し, 最も太いものを選択する. 次に確保したリンパ管の断端の近くで, 下腹壁静脈の分枝か腹壁の静脈でリンパ管と口径が近いものを選択し, 顕微鏡下に端々吻合を行う...
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Veröffentlicht in: | 東京慈恵会医科大学雑誌 2004, Vol.119 (6), p.376-377 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 目的:子宮体癌の骨盤内リンパ節郭清後の下肢リンパ浮腫の予防として, 一期的な骨盤内リンパ管静脈吻合治療を本学倫理委員会の決議を経て開始した. 今回はその術式と早期結果について報告する. 対象:子宮, 卵巣全摘, 骨盤内リンパ節郭清術を行う子宮体癌患者に本手術を施行した. 方法:骨盤内リンパ節郭清術を行い, 後腹膜閉鎖前の状態で本手術を行う. 外腸骨動静脈の周囲で外腸骨リンパ節の輸入リンパ管である, 深鼠径リンパからのリンパ管の断端を確認し, 最も太いものを選択する. 次に確保したリンパ管の断端の近くで, 下腹壁静脈の分枝か腹壁の静脈でリンパ管と口径が近いものを選択し, 顕微鏡下に端々吻合を行う. リンパ管が細く端々吻合が困難な場合には, リンパ管よりやや太めの静脈を選択し, sleeve anastomosisを行う. 内腸骨動静脈周囲で内腸骨リンパ系に対しても同様の操作を行う. この操作を左右の内外腸骨動静脈周囲でそれぞれ1組ずつ, 計4本の吻合を行う. 結果:症例は7例. 年齢は35歳から61歳. 4カ所の吻合に要する時間は100-120分. 吻合後クランプを解除した際にリンパ管内に静脈血が流入する症例をみとめた.経過観察期間は1-9ヵ月で, 全例退院後は自立した日常生活を送っている. 術後は1例で右下肢の軽度リンパ浮腫を認める以外は, リンパ浮腫の発生はない. 考察:術後の経過観察期間は短いものの, 本手術を行った患者でのリンパ浮腫の発生は片側下肢に軽度にみられる1例のみであるが, 子宮癌に伴う続発性下肢リンパ浮腫で手術後6ヵ月以内に発症するものは全体の約30%にすぎず, 今後長期間の経過観察が必要である. 長期間この結果が維持できれば, 本手術は下肢リンパ浮腫の予防に有用な方法といえる. |
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ISSN: | 0375-9172 |