19. 2年間の自然経過で縮小を観察し得た肝炎症性偽腫瘍の1例
症例:53歳, 女性. 現病歴:高血圧に関する精査のため当院腎高血圧内科入院中, 平成13年2月9日の腹部超音波検査にて肝S4領域に82mm×59mm大のSOLを認めたため, 精査目的にて同年2月23日当科転科入院となった. 既往歴:38歳より高血圧, 50歳時Wallenberg症候群. 常用薬:ワーファリン, タナトリル, アムロジン, カルデナリン, メバロチン. 入院時身体所見:身長165cm, 体重62kg, 血圧136/84mmHg, 脈拍66/分, 意識清明, 眼球結膜黄染なし, 眼瞼結膜貧血なし, 胸部異常所見を認めず, 腹部:平坦軟, 肝脾触知せず, 表在リンパ節触卸せず,...
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Veröffentlicht in: | 東京慈恵会医科大学雑誌 2004, Vol.119 (3), p.262-263 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 症例:53歳, 女性. 現病歴:高血圧に関する精査のため当院腎高血圧内科入院中, 平成13年2月9日の腹部超音波検査にて肝S4領域に82mm×59mm大のSOLを認めたため, 精査目的にて同年2月23日当科転科入院となった. 既往歴:38歳より高血圧, 50歳時Wallenberg症候群. 常用薬:ワーファリン, タナトリル, アムロジン, カルデナリン, メバロチン. 入院時身体所見:身長165cm, 体重62kg, 血圧136/84mmHg, 脈拍66/分, 意識清明, 眼球結膜黄染なし, 眼瞼結膜貧血なし, 胸部異常所見を認めず, 腹部:平坦軟, 肝脾触知せず, 表在リンパ節触卸せず, 下腿浮腫なし. 入院時検査所見:WBC9,100/μl, PT61%, TT28%, HPT49%, ALP333mU/l, PIVKA-II 7,110mAU/ml. 経過:腹部超音波検査では, 腫瘤の内部エコーは高エコーで中心に一部低エコーを認め, 周辺低エコー帯が存在していた. 腹部造影CTでは, 辺緑および中心部が島状に造影された. 腹部血管造影では, tumor辺縁を囲む動脈を多数認め, 中心部にやや強い濃染を認めた. 以上の画像検査にて診断にいたらず, 超音波下肝生検を施行し, 肝炎症性偽腫瘍と診断した. 発熱, 腹痛を伴っておらず無症状であったため, 無治療にて退院となった. その後外来通院中, 腹部CTにて経過観察を行っところ, 平成14年2月には50mm×35mm大, 平成15年2月には20mm×20mm大と著明に縮小していた. 過去の肝炎症性偽腫瘍に関する報告例では, ほとんどの症例で発熱, 腹痛, 全身倦怠感, 体重減少, 嘔気嘔吐などの症状を認めており, また, 診断困難で多くは外科切除を受け, あるいは抗生物質, ステロイド投与, ドレナージなどの保存的治療が行われている. 本症例のように, 腫瘤が巨大でありながら症状に乏しく, 無治療で自然縮小が観察し得た例はきわめてまれであり, 貴重な症例と考え報告する. |
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ISSN: | 0375-9172 |