18. 僧帽弁と三尖弁に疣賛を認め両弁置換術を施行した感染性心内膜炎の1例

症例46歳女性. 主訴発熱および腰痛. 平成15年1月23日より腰痛が出現, 1月30日より39度台の発熱が出現し, 2月2日に当院受診, 緊急入院となった. 体温は38.5度, 右上肺野に湿性ラ音を聴取. 手掌にJaneway斑を認めた. 白血球上昇, 貧血, 血小板低下, 肝胆道系酵素の上昇と蛋白, Albの低下, またCRPの上昇と凝固線溶系の異常を認めた. 2月3日の静脈血培養よりStreptococcus Agalactiae検出. 2月4日のUCGにて僧房弁に疣賛を認め, 感染性心内膜炎と診断した. 入院後よりPAPM/BPの投与を開始, 改善傾向を示したがその後再び発熱しSBT/...

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Veröffentlicht in:東京慈恵会医科大学雑誌 2004, Vol.119 (3), p.262-262
Hauptverfasser: 松尾征一郎, 宮田秀一, 太田正人, 梶原秀俊, 森力, 陳頸一, 桑田雅雄, 栗須崇, 瀧川和俊, 妹尾篤史, 吉川誠, 谷口正幸, 谷口郁夫, 望月正武, 川田典靖, 橋本和弘
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:症例46歳女性. 主訴発熱および腰痛. 平成15年1月23日より腰痛が出現, 1月30日より39度台の発熱が出現し, 2月2日に当院受診, 緊急入院となった. 体温は38.5度, 右上肺野に湿性ラ音を聴取. 手掌にJaneway斑を認めた. 白血球上昇, 貧血, 血小板低下, 肝胆道系酵素の上昇と蛋白, Albの低下, またCRPの上昇と凝固線溶系の異常を認めた. 2月3日の静脈血培養よりStreptococcus Agalactiae検出. 2月4日のUCGにて僧房弁に疣賛を認め, 感染性心内膜炎と診断した. 入院後よりPAPM/BPの投与を開始, 改善傾向を示したがその後再び発熱しSBT/ABPC, GMの投与を行った. しかしその後の静脈血培養にて新たに表皮黄色ブドウ球菌を検出しVCMとMINOの併用投与を行ったが, 炎症所見の改善を認めないため手術となった. 手術所見では, 僧房弁は前交連部を中心にほぼ全体に疣賛の付着を認め, 乳頭筋より心筋内にまで浸潤しており, 三尖弁前尖にも疣賛を認めた. 右心系の感染性心内膜炎は, 全体の10%前後と少数である. 右心系は低圧であるため弁にかかるストレスが少なく局所の微小な障害が生じにくいこと, また酸素濃度が低いため菌の繁殖には不利であることなどが推測されている. 起因菌は左心系と右心系では異なり, 右心系では50%以上が黄色ブドウ球菌である. 右心系の心内膜炎は内科的治療に対し比較的予後良好とされているが, 肺梗塞の合併などは60-100%と高率に認められるとの報告があり, 外科的治療に切り替える時期が難しい. また, 10mmを超える疣賛の存在は外科的治療を行う可能性が高いとされている. 右心系は低圧系であるため弁の変性は起こりにくく弁形成術や生体弁の使用が推奨されている. しかし本症例のように弁破壊が進行している例や, 僧帽弁に人工弁を植え込んだ例などは, 三尖弁にも人工弁を植え込む適応と考えられる.
ISSN:0375-9172