38. 心臓におけるUrocortinおよびUrocorotinIIの作用について

目的:Corticotropin-releasing hormone(CRH)は, 1981年に同定されて以来, その心血管系に対する作用が検討されてきたが, 1995年にCRH2型受容体の心臓を含む末梢での発現が明らかとなったことからCRHおよびその関連蛋白が心血管系において何らかの作用を有することが推察された. さらに同年, CRH関連蛋白の1つとしてUrocortin(Ucn)が同定され, Ucnがin vivoにおいて陽性変力作用を有するとの報告がなされた. さらにUcn関連蛋白として心臓に発現しているCRH2型受容体に対しより親和性が高いとされるUcnIIが同定された. また, これ...

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Veröffentlicht in:東京慈恵会医科大学雑誌 2003, Vol.118 (6), p.454-454
Hauptverfasser: 池田惠一, 東條克能, 石川匡洋, 徳留悟朗, 細谷龍男, 田嶼尚子, 中尾一和, 川村将弘
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:目的:Corticotropin-releasing hormone(CRH)は, 1981年に同定されて以来, その心血管系に対する作用が検討されてきたが, 1995年にCRH2型受容体の心臓を含む末梢での発現が明らかとなったことからCRHおよびその関連蛋白が心血管系において何らかの作用を有することが推察された. さらに同年, CRH関連蛋白の1つとしてUrocortin(Ucn)が同定され, Ucnがin vivoにおいて陽性変力作用を有するとの報告がなされた. さらにUcn関連蛋白として心臓に発現しているCRH2型受容体に対しより親和性が高いとされるUcnIIが同定された. また, これらの蛋白は心臓においても発現していると報告されており, それらの蛋白のin vitroでの作用を検討するためrat新生仔培養心筋細胞を用いて検討を行った. 方法:生後1-4日目のWistar ratの心室より比重分離法にて心筋細胞単独培養系非心筋細胞単独培養系を調製し, 心筋細胞単独培養系においては[3H]-leucineの取り込み, cAMP合成およびatrial natriuretic peptide(ANP)brain natriuretic peptide(BNP)分泌, 非心筋細胞単独培養系においては[3H]-thymidineの取り込みを指標にしてUcnおよびUcnIIのこれらの細胞培養系に対する作用を検討した. さらに双方の培養細胞からmRNAを抽出し, RT-PCR法によりUcnおよびUcnIIの発現について検討を行った. 結果:UcnおよびUcnIIはともに心筋細胞への[3H]-leucineの取り込み, 心筋細胞でのcAMP合成および心筋細胞からのANPBNP分泌を有意に増加させたが, UcnのANPBNP分泌作用はCRH受容体括抗薬であるα-helical CRH, およびprotein kinase A阻害薬であるH89により阻害された. さらにUcnは, 非心筋細胞への[3H]-thymidineの取り込みを有意に増加させた. また, 心筋細胞および非心筋細胞でのUcnおよびUcnIIの発現を認めた. 結論:UcnおよびUcnIIは, in vitroにおいて心筋細胞および非心筋細胞に対し蛋白合成促進作用および細胞増殖作用を有し, それは, 心臓に発現しているCRH2型受容体およびcAMP依存性蛋白キナーゼAを介した作用であると考えられた. さらにUcnは非心筋細胞に対しても細胞増殖作用を有し, 心筋細胞および非心筋細胞でのUcnおよびUcn II mRNAの発現を認めたことから, UcnおよびUcn IIはautocrine/paracrine的に作用する内因性の心血管作動物質である可能性が示唆された.
ISSN:0375-9172