9. 集中治療領域における持続血液濾過(CHF)の有用性

背景目的:血液浄化法の適応が拡大され, 腎機能廃絶例以外に対し病因物質の除去を目的とし行われる. とくに集中治療領域ではサイトカインが原因と考えられる高度の炎症に起因するサイトカイン血症から重篤な病態を呈する症例に対し血液浄化を行っている. これらの症例に対し, 浄化法の相違による臨床的有用性を検討することを目的とした. 方法:1999年1月から2001年10月までICUにおいて急性血液浄化を行った35症例を対象に以下の3群に分類した. A群:PMMA製ダイァライザー1.8平方メートルにより持続的血液濾過(CHF)実施群(症例数8)B群:PMMA製濾過器1.0平方メートルによりCHF実施群(症...

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Veröffentlicht in:東京慈恵会医科大学雑誌 2003, Vol.118 (5), p.400-401
Hauptverfasser: 遠藤智久, 菅原洋一, 勝田岳彦, 平塚明倫, 坂井春男, 仁田坂謙一, 小林英之, 平野景太, 長谷川元, 高添一典, 川村哲也
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:背景目的:血液浄化法の適応が拡大され, 腎機能廃絶例以外に対し病因物質の除去を目的とし行われる. とくに集中治療領域ではサイトカインが原因と考えられる高度の炎症に起因するサイトカイン血症から重篤な病態を呈する症例に対し血液浄化を行っている. これらの症例に対し, 浄化法の相違による臨床的有用性を検討することを目的とした. 方法:1999年1月から2001年10月までICUにおいて急性血液浄化を行った35症例を対象に以下の3群に分類した. A群:PMMA製ダイァライザー1.8平方メートルにより持続的血液濾過(CHF)実施群(症例数8)B群:PMMA製濾過器1.0平方メートルによりCHF実施群(症例数13)C群:PMMA膜, Polysulfone膜, PAN膜等を使用した持続的血液透析濾過(CHDF)実施群(症例数14). また, A群B群の一部ではエンドトキシン吸着療法(PMX)を併用した. 各群の治療効果として, 離脱後1ヵ月以上生存し得た症例(離脱群)と救命し得なかった症例(死亡群)の割合を比較検討した. 条件:各群とも血流量80-100ml/hr, 濾過600ml/hr+除水量として, C群の濾過においては600ml/hrのうち透析液400ml/hr, 濾液200ml/hrとした. なお, 抗凝固剤にはフサンを使用し, 一部低分子ヘパリンの併用とした. 結果:3群間において対象症例の差は見られなかった. A群の離脱率は, 他の群に対して高値を示す傾向が見られた. PMXを行った症例のうち, CHF併用例でもA群の離脱率はB群より高値を示す傾向が見られた. 考察:A群はC群に比べ濾液量が多く, B群に比べ膜面積が大きく, すなわち分子量の大きなサイトカインが濾過により積極的に除去され, またPMMA膜の特性である吸着も膜面積の増加等により向上し, 離脱率がA群では他の群に比べ高値を示したのではないかと考えられた. 結語:急性血液浄化では血液濾過のみでも十分な臨床的有用性が得られ, 濾過膜の選択には素材および膜面積も考慮すべきである.
ISSN:0375-9172