B8. 増悪型頭部外傷の検討

目的:頭部外傷後, 来院時Glasgow Coma Scale(GCS)9以上であったにもかかわらず, その後に頭蓋内病変に起因して意識障害が進行した症例を増悪型頭部外傷とし, その病態の解析をおこなった. 方法:受傷後4時間以内に来院し, 入院治療を必要とした急性期頭部外傷988例のうち, 来院時の意識状態がGCS9以上であった779例を対象とした. 2回目以降の頭部CTにおける頭蓋内病変の増悪に起因し, 意識状態が来院時GCSよりも悪化した症例を増悪型頭部外傷と定義し, その臨床像を次の2つの研究に分けて検討した. 研究1は, 増悪型と非増悪型頭部外傷の比較, すなわちどのような症例に増悪...

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Veröffentlicht in:東京慈恵会医科大学雑誌 2003, Vol.118 (3), p.220-221
Hauptverfasser: 沢内聡, 田屋圭介, 寺尾亨, 中崎浩道, 沼本ロバート知彦, 山口由太郎, 橋本卓雄
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:目的:頭部外傷後, 来院時Glasgow Coma Scale(GCS)9以上であったにもかかわらず, その後に頭蓋内病変に起因して意識障害が進行した症例を増悪型頭部外傷とし, その病態の解析をおこなった. 方法:受傷後4時間以内に来院し, 入院治療を必要とした急性期頭部外傷988例のうち, 来院時の意識状態がGCS9以上であった779例を対象とした. 2回目以降の頭部CTにおける頭蓋内病変の増悪に起因し, 意識状態が来院時GCSよりも悪化した症例を増悪型頭部外傷と定義し, その臨床像を次の2つの研究に分けて検討した. 研究1は, 増悪型と非増悪型頭部外傷の比較, すなわちどのような症例に増悪する可能性があるのかを解析することを目的とした. この2型の年齢, 来院時意識状態, 受傷状況, 多発外傷, 頭蓋骨々折およびCT所見について検討した. 研究2として, 増悪型を呈した症例を対象として, その解析をおこなった. 増悪型頭部外傷症例の主病変, 年齢, GCS, 受傷機序, CT所見, 受傷から増悪および手術までの時間, 治療, 転帰について検討した. 結果:増悪型頭部外傷の主病変と考えられたのは, 急性硬膜下血腫19例(27.1%), 急性硬膜外血腫19例(27.1%), 脳挫傷16例(22.9%), 脳内血腫13例(18.6%), びまん性脳腫脹3例(4.3%)であり, その全体の転帰は, GR14例(20.0%), MD9例(12.9%), SD9例(12.9%), PVS2例(2.9%), D36例(51.4%)であった. 結語:増悪型頭部外傷は, GCS9以上の症例の8.9%にみられ, 65歳以上の高齢者, 転落, 頭蓋骨骨折, 初回CTにおける出血性病変が発症に関する危険因子であった. その転帰は, 死亡率51.4%であり, 65歳以上の高齢者で有意に不良であった.
ISSN:0375-9172