B2. 肺炎球菌に汚染された血小板濃厚液の輸血後, 横紋筋融解症を併発し死亡した症例
症例:58歳男性. 糖尿病, 高血圧のため近医通院中, 出血傾向が出現し, 当院を紹介され, 原発性骨髄線維症と診断. 血小板減少が続き, 出血傾向顕著となったため, 10単位/週の血小板輸血を定期的に行った. 2000年3月7日血小板輸血終了時より胸痛発作, 背部痛, 筋肉痛を訴え, 間もなくショック状態となり, 同日死亡. 異状死として翌日剖検を施行. 骨格筋の広範な横紋筋融解および同部位に多核球浸潤やグラム陽性菌が認められた. 死因に輸血製剤の関与が示唆されたため白血球除去フィルターが保管された. 日赤に同一提供者の血漿が凍結保存されており, 原因究明のための材料とした. 方法結果:A)...
Gespeichert in:
Veröffentlicht in: | 東京慈恵会医科大学雑誌 2003, Vol.118 (3), p.218-218 |
---|---|
Hauptverfasser: | , , , , , , , , , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
Tags: |
Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
|
Zusammenfassung: | 症例:58歳男性. 糖尿病, 高血圧のため近医通院中, 出血傾向が出現し, 当院を紹介され, 原発性骨髄線維症と診断. 血小板減少が続き, 出血傾向顕著となったため, 10単位/週の血小板輸血を定期的に行った. 2000年3月7日血小板輸血終了時より胸痛発作, 背部痛, 筋肉痛を訴え, 間もなくショック状態となり, 同日死亡. 異状死として翌日剖検を施行. 骨格筋の広範な横紋筋融解および同部位に多核球浸潤やグラム陽性菌が認められた. 死因に輸血製剤の関与が示唆されたため白血球除去フィルターが保管された. 日赤に同一提供者の血漿が凍結保存されており, 原因究明のための材料とした. 方法結果:A)白血球除去フィルターの細菌培養にてstreptococcus pneumoniaeを検出. B)同一ロットの凍結血漿:検体を3検査所に分け, 細菌培養などの解析を施行. 細菌培養では1検査所でStreptococcus. mitisを検出. DNA解析により, A), B)が合致し, 同一の菌株であることが判明した. なお菌株の同定により両者共にstreptococcus pneumoniaeであり, 輸血製剤の汚染が証明された. 考察結語:血小板製剤は室温保存が必要で, 細菌に汚染されると菌の増殖は著明となり, 激烈な菌血症が引き起こされる. 本例は輸血製剤による菌血症としては本邦初の死亡例である. 今後輸血の安全性確保のため対策を講ずる必要がある. |
---|---|
ISSN: | 0375-9172 |