14. 術前子宮肉腫を疑わせたintravenous leiomyomatosisの1例
子宮筋腫は, 産婦人科領域において, 最も頻度の高い腫瘍であり, 多くは子宮筋層内に筋腫核を形成し, 一般的に周辺組織へ浸潤することはない. しかし, 今回我々は, 組織学的に良性な子宮平滑筋腫の一部が, 静脈内に進展する, 稀な疾患である, 子宮静脈内平滑筋腫症intravenous leiomyomatosisの1例を経験したので文献的考察を加え報告する. 本症例は, 45歳主婦, 無月経を主訴に来院し, 精査したところ, 腫瘍マーカーには悪性腫瘍を思わせる所見はないものの, 超音波検査, MRI等の画像検査で子宮肉腫が疑われたため, 腹式内性器全摘術を施行した. 腫瘍は子宮後壁より発生し...
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Veröffentlicht in: | 東京慈恵会医科大学雑誌 2003, Vol.118 (3), p.189-190 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 子宮筋腫は, 産婦人科領域において, 最も頻度の高い腫瘍であり, 多くは子宮筋層内に筋腫核を形成し, 一般的に周辺組織へ浸潤することはない. しかし, 今回我々は, 組織学的に良性な子宮平滑筋腫の一部が, 静脈内に進展する, 稀な疾患である, 子宮静脈内平滑筋腫症intravenous leiomyomatosisの1例を経験したので文献的考察を加え報告する. 本症例は, 45歳主婦, 無月経を主訴に来院し, 精査したところ, 腫瘍マーカーには悪性腫瘍を思わせる所見はないものの, 超音波検査, MRI等の画像検査で子宮肉腫が疑われたため, 腹式内性器全摘術を施行した. 腫瘍は子宮後壁より発生し, 小児頭大で多発性の腫瘍がおもに左広間膜内に発育していた. 腫瘍は血管に富み易出血性であったが, 周辺組織への明らかな浸潤は認められず, 摘出は容易であった. 病理組織学的には, 腫瘍は良性の平滑筋腫であったが, 一部にそれが子宮の静脈内に連続性に進展している像が認められたためintravenous leiomyomatosisと診断した. 本疾患は文献的には現在までに100例あまりしか報告されておらず, 多くの場合, 主要症状は子宮筋腫とまったく変わらず, 術前診断は困難である. 静脈内の平滑筋腫が下大静脈や右心房まで達していれば, 循環器症状を伴うことがあり, さらに組織学的に良性であるにもかかわらず, 術後も約30%が残存腫瘍から再発すると報告されている. また一般の子宮筋腫と同様に, エストロゲンが増大因子とされている. 今回の症例は, 45歳で無月経が主訴であることより, すでに更年期のホルモン環境になりつつあると推察され, かつ両側の卵巣を摘出しているため再発の可能性は低いと考えられる. しかしながら, 静脈内に進展した平滑筋腫が完全に摘出されているか不明であるため, 今後も定期的に画像的検索を行い再発に留意する必要があると考えられる. |
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ISSN: | 0375-9172 |