5. 脊椎圧迫骨折の治療成績

近年, 高齢化社会を背景として, 骨粗鬆症を基盤とした脊椎圧迫骨折例が増加している. 今回我々は, 当院で保存療法を施行した42例48椎体(男性12例女性30例44歳-90歳平均65歳)の圧迫骨折症例について治療成績を検討したので報告する. 当科では新鮮圧迫骨折症例に対し4週間の安静臥床の後, 起立歩行訓練を施行している. これらの症例のうち, 3ヵ月以上疼痛の残存したものを経過不良例とし, 単純X線(佐々木吉田の分類, 受傷時1ヵ月後3ヵ月後の圧潰率と椎体高比, 後弯角), MRI(寒竹の分類), 骨粗鬆度, 基礎疾患について経過良好例と比較をおこなった. 結果は, 可動性の大きい腰椎に経過...

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Veröffentlicht in:東京慈恵会医科大学雑誌 2003, Vol.118 (3), p.185-185
Hauptverfasser: 中村陽介, 司馬立, 後藤昭彦, 国府田英雄, 服部哲, 油井直子, 千野博之, 片山英昭, 石川博久
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:近年, 高齢化社会を背景として, 骨粗鬆症を基盤とした脊椎圧迫骨折例が増加している. 今回我々は, 当院で保存療法を施行した42例48椎体(男性12例女性30例44歳-90歳平均65歳)の圧迫骨折症例について治療成績を検討したので報告する. 当科では新鮮圧迫骨折症例に対し4週間の安静臥床の後, 起立歩行訓練を施行している. これらの症例のうち, 3ヵ月以上疼痛の残存したものを経過不良例とし, 単純X線(佐々木吉田の分類, 受傷時1ヵ月後3ヵ月後の圧潰率と椎体高比, 後弯角), MRI(寒竹の分類), 骨粗鬆度, 基礎疾患について経過良好例と比較をおこなった. 結果は, 可動性の大きい腰椎に経過不良例が多く認められ, 各種骨折型のうち, 椎体中央成分が損傷された扁平型の2/3に経過不良例が認められた. 圧潰率は, 胸腰椎移行部で受傷1ヵ月後において経過不良例が経過良好例に対し有意に高い圧潰率を示した. 椎体高比, 後弯角では有意差を認めなかった. MRIの分類では, 椎体全体に高輝度が認められる全体型の2/3に疼痛が残存した. 骨萎縮度3度の症例の6割に疼痛が残存した. また, 腎不全, 糖尿病などの基礎疾患を持つものに疼痛が残りやすかった. したがって, これらの不良因子に十分注意して, 脊椎の持つ支持性の獲得や脊髄神経の保護を目的として, 的確な治療法の選択と長期にわたる経過観察を行うことが重要である.
ISSN:0375-9172