1. 低Ca透析の有用性に関する検討
透析液Ca濃度は, V. D製剤および沈降炭酸Caの使用に伴い, 3.5から3.0mEq/Lに減少した. 最近では, 高Ca血症に由来する異所性石灰化および絶対的または相体的副甲状腺機能低下症の治療方法として, 透析液Ca濃度2.5mEq/L(低Ca透析液)が使用されている. 今回我々は副甲状腺機能低下症2例, 副甲状腺機能正常1例に対する低Ca透析を使用し若干の知見が得られたので報告する. 1. 絶対的Hypoの症例であり, 全身血管の石灰化を改善する目的にて1年にわたり低Ca透析を施行した. 血清Ca値は変動がないが, i-PTHは1年後には130pg/mlと増加を認めたが, いまだ低値で...
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Veröffentlicht in: | 東京慈恵会医科大学雑誌 2003, Vol.118 (3), p.183-183 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 透析液Ca濃度は, V. D製剤および沈降炭酸Caの使用に伴い, 3.5から3.0mEq/Lに減少した. 最近では, 高Ca血症に由来する異所性石灰化および絶対的または相体的副甲状腺機能低下症の治療方法として, 透析液Ca濃度2.5mEq/L(低Ca透析液)が使用されている. 今回我々は副甲状腺機能低下症2例, 副甲状腺機能正常1例に対する低Ca透析を使用し若干の知見が得られたので報告する. 1. 絶対的Hypoの症例であり, 全身血管の石灰化を改善する目的にて1年にわたり低Ca透析を施行した. 血清Ca値は変動がないが, i-PTHは1年後には130pg/mlと増加を認めたが, いまだ低値であり現在も続行している. 2. 相対的Hypoであり, 在宅血液透析を施行している症例である. 透析液の都合上約1年前より低Ca透析に移行した. 血清Caは若干の減少傾向を認めたが, i-PTHは著明な増加を認め5ヵ月後には, 副甲状腺機能亢進症を呈した. 薬剤により対応したが, i-PTHの抑制が得られず, 3.0mEq/Lの透析液に変更した. 3. 長期にわたるV. D製剤投与により高Ca血症, 異所性石灰化および, 変形性腰椎症を合併し強度の腰痛により体位変換も不可能な症例である. 腰痛の原因と考えられる骨棘縮小目的にて低Ca透析を3週間のみ施行したが, i-PTHの著増は認めず, 3週後には骨棘の縮小を認め腰痛は軽減し歩行可能となった. 考察:1. 副甲状腺機能低下症例では低Ca透析の治療期間に依存してi-PTHを増加させるが, 症例ごとに増加速度は異なり, 臨床症状, i-PTH, 血清Ca, 等の充分な観察が重要と考えられた. 2. 短期間の低Ca透析はV. D投与に伴う異所性石灰化, 変形性腰椎症合併症例などに対し有効な可能性が示唆された. まとめ:低Ca透析は, 高Ca血症および副甲状腺機能低下症の治療として有効な方法であるが, 使用に際しては充分な臨床症状, i-PTH, 血清Ca値等の充分な観察が必要であると考えた. |
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ISSN: | 0375-9172 |