4. 病理組織検査の保険点数算定における"臓器数"に関しての私見

目的:病理組織診断の保険点数算定に当たり, 官報では"臓器数"が基準となっている. しかし, この"臓器数"の概念は解剖学的(学問的)な臓器数と必ずしも一致せず, 混乱を生じている. 今回この"臓器数"についての, 私見を報告し, 啓蒙するとともに, 御批判を仰ぎたい. 方法:日常の病理組織診断業務をしつつ, 医事伝票に書いてある"臓器数"をチェックし, どんな場合に間違え易いか, 悩むかを列挙した. 各々の場合に対しての, "臓器数"を決めるに当たり, 解剖学的臓器数剔出組織数(病変数)臨床診...

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Veröffentlicht in:東京慈恵会医科大学雑誌 2002, Vol.117 (6), p.367-367
Hauptverfasser: 鈴木正章, 河上牧夫, 河西美知子, 佐藤俊, 三浦幸子, 高田浩志, 田中純子, 鳥海弥寿雄, 森田行雄, 柴孝也
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:目的:病理組織診断の保険点数算定に当たり, 官報では"臓器数"が基準となっている. しかし, この"臓器数"の概念は解剖学的(学問的)な臓器数と必ずしも一致せず, 混乱を生じている. 今回この"臓器数"についての, 私見を報告し, 啓蒙するとともに, 御批判を仰ぎたい. 方法:日常の病理組織診断業務をしつつ, 医事伝票に書いてある"臓器数"をチェックし, どんな場合に間違え易いか, 悩むかを列挙した. 各々の場合に対しての, "臓器数"を決めるに当たり, 解剖学的臓器数剔出組織数(病変数)臨床診断名数が問題になるが, A「解剖学的に1つの臓器から, 複数の組織が, 1つの臨床診断名下にとられた時, 1臓器」 B「解剖学的に1つの臓器から, 複数の組織が, 複数の臨床診断名下に別々にとられた時, 剔出組織数(病変数)を"臓器数"と考える. 」 C「解剖学的臓器数が複数であっても, 診断名が1つであれば"臓器数"も1っ」以上3個の原則を考えた. また, CP98-1-CP98-400の400例に関して臓器数のチェックミスを分析した. 結果:"臓器数"を間違え易い悩む場合を例示し, サンプルリストを作成した. 上記400例に関して医事伝の"臓器数"をみると40臓器分のチェックミスがあった. 医事伝を注意深く医事課サイドでチェックすればこのうちの40臓器分は修正可能だが, 9臓器分は情報不足で医事課サイドでは修正不能であった. 結論:"臓器数"問題は臨床医病理医臨床検査技師医事課の仕事の死角である. 400例中に40臓器のチェックミスがあるということは, 4病院で年間約30,000件あるので, 1年間に最大3,000臓器(2,640万円)の付け落ちが発生する可能性がある. 病理部, 医事課サイドで修正が加えられているが完全なチェックは難しい. 全割切片をつくり詳細に検討しても, 1ヶ所のみの検索でも, "臓器数"は同じで, 現在の取り決めがベストの方式ではないが, われわれはこれを理解し, 従う必要がある.
ISSN:0375-9172