当院における初回エピソード分裂病の実態調査
これまでの精神分裂病(以下, 分裂病)研究において, その未治療期間(DUP:Duration of Untreated Psychosis)が予後に関与することが明らかになり, 分裂病においても早期発見, 早期治療の重要性が議論されるようになってきた. そこで今回我々は, 当院を受診した初回エピソード分裂病に注目しその現状を把握する目的で調査を行った. 対象は平成12年1月より同年12月までの1年間に当院精神神経科外来を受診し, DSM-IVにより診断された初診分裂病患者99例のうち, 今回が初回エピソードであった36例(男性17例, 女性19例, 平均年齢25.5歳)である. これら36例...
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Format: | Tagungsbericht |
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Zusammenfassung: | これまでの精神分裂病(以下, 分裂病)研究において, その未治療期間(DUP:Duration of Untreated Psychosis)が予後に関与することが明らかになり, 分裂病においても早期発見, 早期治療の重要性が議論されるようになってきた. そこで今回我々は, 当院を受診した初回エピソード分裂病に注目しその現状を把握する目的で調査を行った. 対象は平成12年1月より同年12月までの1年間に当院精神神経科外来を受診し, DSM-IVにより診断された初診分裂病患者99例のうち, 今回が初回エピソードであった36例(男性17例, 女性19例, 平均年齢25.5歳)である. これら36例に対し初診時状況, 生活状況, 発症から初診までの期間, 発症形式, 病型, 受診経路, 治療状況, 病識, 転帰などについて調査し, さらにそれらを6ヵ月後の治療継続群と治療中断群に分けて比較検討を行い以下の知見を得た. 1)初回エピソード分裂病患者は外来初診分裂病患者のうち36.4%を占めた. 2)80%以上の患者は未婚で家族と共に生活しており, 初診時家族に付き添われての受診であったが本人自ら受診を希望していることも多かった. 3)発症から初診までの期間は, 1ヵ月以内は33%, 3ヵ月以内は62%, 1年以内とすると81%となり, 8割以上の患者は発症後1年以内には受診していた. 4)病型(DSM-IVによる), 発症形式はそれぞれ妄想型, 急性発症が最も多く, 急性精神病状態を呈して来院する場合が多いと思われた. 5)病識に関しては, 約7割の患者が病識あるいは何らかの病感を持っていた. 6)薬物療法は, 初期治療薬, 効果薬ともにrisperidoneが最も多かった. 7)当院における6ヵ月後の外来治療継続率は61%であった. 8)治療中断例は12例(33%)であり, 発症から初診までの期間が3ヵ月以内と比較的発症早期に受診し, 病感はあるが, 不安, 緊張が強いという傾向がみられた. |
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ISSN: | 0375-9172 |