当院における結核菌検出状況の確認

目的:我が国において結核は年々減少を続け, 既に過去の病気と思われている. しかし, 厚生省の統計では平成11年から再び増加傾向を示したことにより, 同年7月26日に結核緊急事態宣言が発表され結核に対して再度注目が集まっている. そこで, 我々は柏病院における結核菌の検出状況と厚生省の発表とを比較検討したので報告する. 対象:対象は, 平成9年から平成12年までの間に依頼のあった培養検査9,357件(陽性203例)とPCR検査381件(陽性76例)である. 結果:厚生省の統計では, 年々減少を続けてきた結核新規登録患者数が平成11年に増加傾向を示している. 当院での抗酸菌(結核菌及び非定型抗酸...

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Hauptverfasser: 中川知佐子, 田村卓, 川満幸子, 神谷昌弓, 堂満憲一, 立石修
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:目的:我が国において結核は年々減少を続け, 既に過去の病気と思われている. しかし, 厚生省の統計では平成11年から再び増加傾向を示したことにより, 同年7月26日に結核緊急事態宣言が発表され結核に対して再度注目が集まっている. そこで, 我々は柏病院における結核菌の検出状況と厚生省の発表とを比較検討したので報告する. 対象:対象は, 平成9年から平成12年までの間に依頼のあった培養検査9,357件(陽性203例)とPCR検査381件(陽性76例)である. 結果:厚生省の統計では, 年々減少を続けてきた結核新規登録患者数が平成11年に増加傾向を示している. 当院での抗酸菌(結核菌及び非定型抗酸菌)の培養検査における検出状況も, 平成11年が最も多く59例で, このうち結核菌は24例(40.7%)と最も高かった. 同様にPCR検査においても, 平成11年の陽性28例中結核菌陽性が16例(57.1%)と高い割合を示した. また, PCR陽性76例中培養で検出できなかったものが8例あり, 逆に培養陽性でPCRにて検出できなかったものが35例あった. 考察:当院における結核菌検出状況は, 平成11年に最も多く全国統計と一致していた. このことから結核患者の増加は一部地域に限ったものではなく, 身近で起きている事であり, 我々の生活に入り込んできている. したがって, 結核が疑われるような場合は早期に受診し, 重症化する前に確実に治療することが拡大を防ぐ上で重要である. また検査に要求されることは, 正確かつ迅速な結果報告である. 現在PCR検査が迅速性の面から利用されるケースが多くなっているが, 培養陽性でPCR陰性であったものが35例あったことから, PCR検査に頼りすぎることは危険であり培養検査との併用は必須であると考えられる.
ISSN:0375-9172