マクロライドにニューキノロンを併用することで救命し得たレジオネラ肺炎の1例

症例は基礎疾患に慢性B型肝炎を持ち, 当院消化器内科通院中の61歳の女性. 平成12年11月中旬より感冒症状を認め, 12月に入り発熱, 関節痛, さらに食欲低下も著しく, 平成12年12月10日当院救急外来受診となった. 身体所見上, 両側下肺野湿性ラ音と右呼吸音減弱を認め, 検査所見上, WBC:1,700/μl(Gra94%, Ly4%, Mo2%), CRP:15.0mg/dlであり, 血液ガスは大気吸入下でpH:7.508, PCO2:19.0Torr, PO2:51.2Torrと低酸素血症を呈した. 重症肺炎にて入院当初より, PAPM/BPに加え, CAMも併用した. しかし,...

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Hauptverfasser: 清水久裕, 池田真仁, 矢野平一, 舘田一博
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:症例は基礎疾患に慢性B型肝炎を持ち, 当院消化器内科通院中の61歳の女性. 平成12年11月中旬より感冒症状を認め, 12月に入り発熱, 関節痛, さらに食欲低下も著しく, 平成12年12月10日当院救急外来受診となった. 身体所見上, 両側下肺野湿性ラ音と右呼吸音減弱を認め, 検査所見上, WBC:1,700/μl(Gra94%, Ly4%, Mo2%), CRP:15.0mg/dlであり, 血液ガスは大気吸入下でpH:7.508, PCO2:19.0Torr, PO2:51.2Torrと低酸素血症を呈した. 重症肺炎にて入院当初より, PAPM/BPに加え, CAMも併用した. しかし, 解熱傾向認めず, 胸部レントゲン上, 右下肺野に限局していた病変は両側上肺野に拡がり, 低酸素血症も急速に進行した. この時点で当初鑑別に挙げていたレジオネラ肺炎をさらに疑い, 人工呼吸管理下で気管支鏡を施行した. そこで得られた肺胞洗浄液のPCRによりレジオネラ肺炎の診断が得られた. 治療はマクロライドのみでは効果が不十分であると判断し. ニューキノロンおよび短期のステロイドを併用し, 改善を認めた. レジオネラ肺炎の治療として一般的に使われるリファンピシンを用いず, ニューキノロンを採択した理由としては(1)基礎疾患に肝障害を持つ点, (2)レジオネラ肺炎急性期に投与するステロイドとの相互関係, (3)選択当時, レジオネラ肺炎の確定診断がまだ得られておらず, 一方で劇症マイコプラズマ肺炎の可能性も否定し得なかった点が挙げられる.
ISSN:0375-9172