高速CTにて確認し得た冠動脈起始異常症の1症例
今回我々は狭心症を疑われ精査を施行し, 高速CTにて確認し得た冠動脈起始異常症の1例を経験したので, 若干の考察を加えて報告する. 症例73歳男性, 安静時および労作時に胸痛を認めたため, 精査加療目的にて入院となった. 入院時現症, 検査では特記すべきものは認められなかったが, トレッドミル検査ではII, III, aVFのST低下を認め陽性所見を認めた. 心臓カテーテル検査では冠動脈に有意な狭窄を認めず, 右冠動脈は左冠動脈洞から起始しているのが確認され冠動脈起始異常症と診断した. 右冠動脈の走行を確認するため高速CTを施行したところ, 左冠動脈洞より起始した右冠動脈は大動脈と肺動脈の間を...
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Format: | Tagungsbericht |
Sprache: | jpn |
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Zusammenfassung: | 今回我々は狭心症を疑われ精査を施行し, 高速CTにて確認し得た冠動脈起始異常症の1例を経験したので, 若干の考察を加えて報告する. 症例73歳男性, 安静時および労作時に胸痛を認めたため, 精査加療目的にて入院となった. 入院時現症, 検査では特記すべきものは認められなかったが, トレッドミル検査ではII, III, aVFのST低下を認め陽性所見を認めた. 心臓カテーテル検査では冠動脈に有意な狭窄を認めず, 右冠動脈は左冠動脈洞から起始しているのが確認され冠動脈起始異常症と診断した. 右冠動脈の走行を確認するため高速CTを施行したところ, 左冠動脈洞より起始した右冠動脈は大動脈と肺動脈の間を走行していることを確認することができた. 冠動脈起始異常症は現在までに様々なタイプが報告されているが, 従来minor anomalyとして重要視されていなかった. しかし, 近年は突然死及び心筋梗塞などとの関連が指摘されるようになり, その臨床的意義について注目されている. 起始異常症を含む冠動脈奇形の頻度は冠動脈造影施行例の0.2~1.3%に認められ, その中で突然死のリスクが高いと考えられるタイプの冠動脈起始異常症が臨床的に問題となっている. 本症例は全冠動脈奇形の8%に認められ, 突然死の報告があり心筋虚血の原因となりうることが推測されている. 胸痛の精査で冠動脈造影を施行し, 冠動脈起始異常症と診断された症例において, 高速CTはその血管の走行を把握するのに有用であると考えられる. |
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ISSN: | 0375-9172 |