クローン病・潰瘍性大腸炎患者のn-3系多価不飽和脂肪酸食品交換表による食事療法を施行するうえでの臨床栄養管理

はじめに:クローン病, 潰瘍性大腸炎(以下IBD)患者は著しい食事制限のため成分栄養療法の継続は極めて困難であり, 緩解期患者に対する低脂肪, 低残渣食には科学的根拠が乏しい. そこで我々はIBDの中心的治療薬であるステロイド, ペンタサ, サラゾピリンと同様に抗炎症を目的とした「n-3系多価不飽和脂肪酸食品交換表による食事療法」を確立した. 本療法を施行する柏病院における管理栄養士の役割と栄養管理について述べる. 手順および方法:(1)本療法を指導する前調査として半定量食物摂取頻度調査を実施して発症時の食事栄養量を評価する. (2)聞き取り調査, 問診により食事暦カルテを作成, 食事指導開始...

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Hauptverfasser: 石井和巳, 岡村康平, 小林誠, 白石弘美, 中村眞, 藤瀬清隆
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Zusammenfassung:はじめに:クローン病, 潰瘍性大腸炎(以下IBD)患者は著しい食事制限のため成分栄養療法の継続は極めて困難であり, 緩解期患者に対する低脂肪, 低残渣食には科学的根拠が乏しい. そこで我々はIBDの中心的治療薬であるステロイド, ペンタサ, サラゾピリンと同様に抗炎症を目的とした「n-3系多価不飽和脂肪酸食品交換表による食事療法」を確立した. 本療法を施行する柏病院における管理栄養士の役割と栄養管理について述べる. 手順および方法:(1)本療法を指導する前調査として半定量食物摂取頻度調査を実施して発症時の食事栄養量を評価する. (2)聞き取り調査, 問診により食事暦カルテを作成, 食事指導開始時の身体計測を実施する. (3)本療法の患者マニュアルを使用して基本内容を指導する. (4)在宅においてIBD患者が実践した食事内容を5~7日間記録させる. その食事記録の内容をチェックして, 理解不足の場合は再指導する. (5)本療法の指導後3, 4回目頃に, 本食事療法のコンプライアンスを知る為の「食事QOL調査」を行い, 調査結果に応じた指導対策をとる. (6)緩解維持の食事療法に取り組んで半年~1年間継続している患者に対して「カメラ法食事調査」をマニュアルにそって実施, 評価する. 以上の方法により食事療法や体調が順調に推移している場合, 3ヵ月に1度程度の外来食事指導として食事チェックや身体計測を施行する. 結果:従来の実践困難な食事療法に代わり, IBD患者の緩解維持と偏りのない豊かな食生活を可能とさせている. そして現在までにクローン病50名, 潰瘍性大腸炎130名の患者に食事療法の指導を行う事ができた. さらに継続指導に向けて各種調査や食事チェックリスト作成などを行い, 患者個々の世代に合せた指導マニュアル作成や栄養評価, 身体計測による栄養アセスメントを可能としている. 結語:クローン病, 潰瘍性大腸炎患者の食事療法を継続して, 栄養評価するうえで管理栄養士による臨床的な栄養管理は不可欠である.
ISSN:0375-9172